最新記事

中国共産党

次の共産党大会で、ついに確定する習近平の「絶対権力」...その先に待つのは?

Party Congress Set for October

2022年9月9日(金)10時22分
シャノン・ティエジー(ディプロマット誌編集長)
全国人民代表大会

中国共産党党大会では習(中央)の3期目続投、李(右)の引退決定が確実視されている(2019年の全国人民代表大会、左は次期首相候補の汪洋) ANDREA VERDELLI/GETTY IMAGES

<中国共産党の第20回党大会の開幕日が、10月16日に決定。3期目が確実な習国家主席が示す新支配体制は?>

中国共産党は8月30日に政治局会議を開き、第20回党大会を10月16日から開催することで決定した。今後5年の任期を担う新しい指導部の人事が決められることになる。

今年の党大会が特に高い注目を集めるのは、2期10年ごとにトップが交代してきた近年の慣例を破り、習近平(シー・チンピン)国家主席が3期目に入るとみられているからだ。

2017年の第19回党大会で発表された党の最高指導部である政治局常務委員会の人事で、習の後継者と目される人物が一人もいなかったことから、その兆候は既に示されていた。習が3期目、もしくはそれ以上の任期を視野に入れていることは、18年の憲法改正で国家主席の任期制限が撤廃されたことからもいっそう明らかになった。

共産党総書記(国家主席)として2度の党大会を迎え、3期目に突入することは、明らかに近年の慣例を無視している。江沢民(チアン・ツォーミン)と胡錦濤(フー・チンタオ)は2期10年を厳守した。

習が3期目に入ることは、「七上八下」という暗黙のルールが破られることも意味する。政治局常務委員会のメンバーは、党大会時に67歳以下なら留任、68歳以上なら離任という「定年」ルールだ。習は既に69歳になっている。

李克強首相の引退は確実とみられる

皮肉なことに、李克強(リー・コーチアン)首相は67歳で、理屈の上では留任が可能であるにもかかわらず、引退は確実とみられている。

ここのところの李の活動は、ちょっとした「さよならツアー」のようだ。特に8月中旬、広東省深圳を視察した際に鄧小平の「改革開放」路線の堅持を訴えたことは、臆測を呼んだ。外国のビジネスにまで規制の手を伸ばすなど共産党が経済を支配し、中国が改革開放とは真逆の方向に向かう兆候が数多く見られるなか、李の行動は去りゆく者のささやかな抵抗とも読み取れる。

第20回党大会を迎えるにあたり、唯一確実なことは、習による共産党支配が続くことだ。政治局常務委員に加わる他のメンバーは誰になるのか、あるいはもっと基本的な問題としてメンバーは何人になるのか(人数は時に変動する)、という点が、今後5年間にわたり習がどれほどの権力を行使するのか、中国共産党が何を重視していくのかを占う指標として注目されるだろう。

最高指導部の顔触れに加えて、党大会では過去5年を総括し、今後5年の長期的展望を明らかにする「政治報告」にも注目が集まる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    大麻は脳にどのような影響を及ぼすのか...? 高濃度の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中