大洪水に襲われたパキスタン、復興に苦難 家も仕事も押し流され
国際通貨基金(IMF)は先週、資金繰りに苦しむパキスタンに対する11億ドルの支援に合意した。
しかし特に農民の間では、十分な支援が受けられないのではないかという不安が広がっている。畑は荒れ果て、作付け再開前に土地の修復作業が必要だとの声もある。
チャルサダ郊外の村に住むシェル・アラムさん(47)は8月26日に自分の土地が洪水に見舞われ、サトウキビの収穫ができなくなった。
種と肥料を買うための借金を返済するため、すでに450ドルを借りているが、さらに農地復旧のために230ドルの融資を求めている。
5人の子どもを持つアラムさんは、日々の暮らしを支えるため、チャルサダの民間駐車場で仕事を見つけた。洪水で被害を受けた農作物は家畜の餌にしかならない。
自宅前の木の下に座り込み、「どうやって生き延びたらいいのか分からない」と不安を吐露した。
国連人道問題調整事務所によると、パキスタンは洪水で約200万エーカーの作物が被害を受け、経済に影響が及ぶだけでなく、食糧安全保障も危険にさらされる可能性がある。
バルチスタン州のブルチャさんによると、果物、野菜、肉は供給が不足して価格が高騰し、特に貧しい人たちが苦しんでいる。
ブルチャさんの地域では、洪水によって頼みの井戸が汚染され、健康被害をもたらす恐れがあるという。「人々は苦しみ、多くの人々が亡くなるだろう」
無視された警報
洪水に見舞われた人々の多くは、十分な警告を受けていなかったり、数カ月に及ぶ豪雨で警報が繰り返し発令されたりしたため、警戒感が低下したという。
アラムさんの村は8月下旬の洪水の際に政府から正式な警報を受けていなかったが、近隣の村から警報が伝えられた。ソーシャルメディアでも警報が流れたため、アラムさんの村は約3時間で家畜や物資を安全に移動させることができた。
カイバル・パクトゥンクワ州の災害当局者は、州内の5つの河川と他の2カ所に設置された監視設備が早期警報に役立ったと説明。警報により18万人がチャルサダ地域から避難したという。
(Imran Mukhtar記者)