英政府が妊娠・授乳中のワクチン「推奨せず」とのツイート氾濫...真偽をファクトチェック
Has Advice On Pfizer Vaccine Use During Pregnancy Changed?
米ペンシルベニア州で新型コロナウイルスのワクチン接種を受ける妊娠中の女性(2021年2月) Hannah Beier-Reuters
<英政府のウェブページのものとしてワクチン接種を「推奨しない」との画像が貼り付けられたツイートが拡散されているが、事実はどうなのかを検証>
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はすでに、アメリカ人の間で大きな問題ではなくなりつつあるのかもしれない。だが一方で、ワクチンに関する誤った情報はオンラインを席巻し続けている。なかでも人々を惑わせている「言説」の1つに、「妊娠中や授乳中の人のワクチン接種をイギリス政府が推奨しなくなった」というものがある。これは本当なのか?
■【写真】拡散されているワクチン反対派のツイートが引用するウェブページの画像
最近では、ワクチン懐疑派がジョー・バイデン米大統領の感染に乗じ、ウイルスやワクチン接種について誤解を招くような主張を展開している。また政府が公開した情報を、文脈を無視して引用するといった使い古された手法が、ワクチンの安全性について人々を惑わせるために今も使われている。
8月、イギリス政府がファイザー製ワクチンを妊娠中や授乳中に使うことを推奨しなくなったとするツイートが複数投稿された。この主張はアメリカでも、米総合格闘家ジェイク・シールズらによって共有され、拡散されている。
では実際のところはどうなのか。英医薬品医療製品規制庁(MHRA)は、米疾病予防管理センター(CDC)と同様に、承認したすべてのワクチンの安全性プロフィールを定期的に更新し、アドバイスを提供しており、ウェブサイトで確認できる。
MHRAが妊娠中や授乳中の女性に対して言っていること
本記事の執筆時点では、MHRAは妊娠中や授乳中の女性に対し、ファイザー製ワクチンの使用を控えるよう勧告して「いない」。
MHRAのウェブサイトには、次のように書かれている。「現時点では、授乳中のCOVID-19ワクチン接種が、母乳で育てられている子供に害を与える、あるいは、授乳の能力に影響を及ぼすという証拠は存在しない」
また「COVID-19ワクチンは、生きたウイルスを含まない不活性ワクチンであり、授乳中の不活性ワクチン接種に関連した既知のリスクは存在しない」とあり、「英政府の諮問機関であるワクチン・予防接種合同委員会(JCVI)は現在、授乳中の母親は、年齢に応じて適切なCOVID-19ワクチンを提供されるべきと助言している」と、ウェブサイトには書かれている。
MHRAはさらに、次のように続けている。「ファイザー/ビオンテック製COVID-19ワクチンとモデルナ製COVID-19ワクチンの製品情報は、安全性データを反映すべく更新されてきており、妊娠中も使用可能であることが示されている」
「推奨しなくなった」とする側の一連のツイートで言及されていた「更新」は、MHRAのアドバイスの一部ではない。2020年以降更新されていない、政府の別のウェブページから引用した情報であり、文脈を無視して紹介されている。