MISIAが語る──アフリカの子どもが描いた絵を通して心に触れること
2018年、ケニアの首都ナイロビのマゴソスクールを訪れたMISIA氏
<歌手MISIA氏に、TICAD8(第8回アフリカ開発会議)を機に開かれた、アフリカの子どもたちの絵画展『MISIA HEART FOR AFRICA』についてインタビュー。子どもたちの絵から伝わるものとは>
ケニアとザンビアの子どもが描いた、249点の絵画を東京で展示
東京の玄関口、東京駅の目の前にある新丸ビルで、ユニークな展覧会が始まった。タイトルは『mudef x junior artists MISIA HEART FOR AFRICA:子ども絵画展 "わたしの大切なモノ"』。
8月27・28日にチュニジアでTICAD8(第8回アフリカ開発会議、The Eighth Tokyo International Conference on African Development)が開かれることを機に、アーティストら著名人と社会貢献活動を行う一般財団法人mudef(ミューデフ)が主催し、日本の音楽界を代表する歌手、MISIA氏の全面協力を得て企画された本展では、ケニアとザンビアの子どもたちが描いた249点の絵を展示している。
TICADは、日本政府が国連や世界銀行などと共同開催し、アフリカ諸国の政府関係者とアフリカについて協議する、3年に1度の催しだ。アフリカ各地をたびたび訪れて教育支援に携わり、TICAD5とTICAD7の名誉大使も務めたMISIA氏に展覧会や現地での体験について話を聞いた。
──絵画展に参加した3つの学校のうち、ケニアのナイロビにあるマゴソスクールは、15年にわたって支援しているそうですね。
2007年に初めて行った時は、一番小さな子が7歳くらいだったので、今は20歳を過ぎているんです。頑張って小学校の先生になったり、俳優になったり、障害を持つ子どもの教育を学ぶために日本の大学に留学している子もいます。教育の力はすごいですね。自分の力で未来を切り拓いて、働いてご飯を食べていますから。日本に留学した女の子が、「学んだことだけは盗まれなかった。一生の財産になった」と言うんですよ。確かにそうだなって感じました。
──2校はザンビアのメヘバ難民キャンプ内にあり、1校は難民が暮らす地区の、もう1校はザンビアに定住した元難民が暮らす地区の学校だと伺っています。こちらにも足を運ばれたのですか?
TICAD7が開催された2019年に視察しました。ザンビアは8カ国と国境を接する内陸国で比較的安定しているので、周りの国で内戦などが起きると、難民の方が逃げてきていたんです。私は、1週間前にキャンプにたどり着いたというご家族に会いました。3カ月ぐらい歩き続けて国境を越え、疲れ果てて何も財産がないような状態でいらっしゃるんですね。その難民キャンプにある小学校には難民だけではなく地元の子どもも通っていて、みんなが標語のように、「私たちは闘うためにここにいるのではありません、みんなで仲良くなるためにここで勉強しているのです」と話していました。
ザンビア政府は定住を決めた難民に土地を与えているので留まる人もいて、2世、3世の人が暮らしています。簡単ではないですが他の国の方々と一緒に生きていくのは、一つの平和な形だと思うんです。私たちが経験したことのないような困難に見舞われた人々から知識や知恵を学ぶのも、日本を豊かにすることにつながるのかなって。今回の絵画展が、そういう子どもたちに関心を持つ機会になればと思っています。