地球外生命体がいる可能性が最も高い「TRAPPIST1惑星系」、残る未確認の要素は?
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TRAPPIST1の惑星系と1fと呼ばれる惑星の想像図 NASA/JPL-CALTECH/T. PYLE (IPAC)
<「NASA史上最強」のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、近傍の太陽系外惑星に生命の痕跡を発見できるか>
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の観測データによって、近傍の太陽系外惑星に生命が居住可能かどうかが明らかになる――科学者たちはそう考えていると、NASAの専門家は言う。
NASAの宇宙生物学者ショーン・ドマガルゴールドマンによれば、JWSTは地球から約40光年先にある小さな赤色矮星TRAPPIST1の周囲を公転する惑星のいずれかに大気があるかどうかを判断できるはずだという。もしこれらの系外惑星が「適切な」大気を持っていれば、生命が存在する可能性もある。
発見された系外惑星の数は増え続けているが、宇宙から降り注ぐ電波を何十年スキャンしても、地球外生命の証拠は見つかっていない。
TRAPPIST1の周囲を回る惑星は少なくとも7つ。一部は理論上生命の居住に適した条件を持つハビタブルゾーン(生命居住可能領域)の範囲内にあり、実際に生命が存在できる惑星の有力候補と考えられている。
予備調査の結果、いくつかの惑星は岩石質で、温和な気候を持つ可能性があることが判明した。ただし、肝心の大気の存在については、これまで結論が出ていなかった。
だが昨年12月に打ち上げられたJWSTが、問題を解決してくれそうだ。NASA史上最強の宇宙望遠鏡であるJWSTは、巨大な鏡の列を駆使して可能な限りの光を捕捉し、宇宙をのぞき込む。既にこれまでで「最も深い」宇宙の赤外線画像を撮影した。最近はTRAPPIST1の惑星系観測にも取り組んでいる。
「これらの惑星に大気があるかどうかは、誰にとっても興味深いことだと思う」と、ドマガルゴールドマンは言う。「それが居住可能性の絶対条件だから。月は地球と同じく太陽から多くのエネルギーを得ているが、大気がない。そのため海もなく、地球のような生物圏もない」
生命存在の前提となる大気の有無
対照的にTRAPPIST1系の惑星は、その質量からみて十分に大気を保持できるだけの重力がある。ただし、主星のTRAPPIST1が爆発的な高エネルギー放射(恒星フレア)によって惑星の大気を吹き飛ばすほどの激しい活動を過去にしてきたかはまだ分かっていない。
「この惑星系が生命の居住に適しているかどうかを知るためには、まず大気の有無を知らなければならない。そのための最も簡単な方法がJWSTによる観測だ」と、ドマガルゴールドマンは言う。
TRAPPIST1系の惑星のいずれかで大気が見つかれば、次の問題は「その惑星は何でできているのか」だ。
これには、より複雑なプロセスが必要になる。具体的には、「透過光分光」と呼ばれる技術による惑星の詳細な観測だ。研究者はJWSTを使い、主星TRAPPIST1の光が惑星の大気中を通過するたび、その光を観測する。
もしこの光が酸素、二酸化炭素(CO2)、水蒸気、メタンなどの気体を通過していたら、その痕跡をJWSTが捕捉できるはずだ。