最新記事

新型コロナウイルス

コロナ簡易検査キット、2〜4回実施しないと陰性の確証得られない...米FDAが警告

2022年9月1日(木)17時03分
青葉やまと

日にちをおいて2〜4回実施する必要があるという...... ShutterOK-iStock

<5人に1人の割合で感染を見逃すリスクが。症状がない人ほど誤判定のリスクが高いという>

新型コロナウイルスへの感染の有無を手軽に確認できるとして、簡易検査キット(抗原検査キット)への需要が高まっている。日本でも厚生労働省が8月17日、外来医療の負荷軽減を目的として、簡易検査キットのネット販売解禁を決めた。

ところがこの簡易検査キットについて、米食品医薬品局(FDA)は8月11日、精度に注意が必要だとする内容の安全情報文書(セーフティ・コミュニケーション)を公開した。単体の簡易検査で陰性の結果が出たとしても、実際に感染していないとは限らないようだ。

文書によると、家庭用の簡易検査キットで陰性の結果が得られたとしても、日にちをおいて2〜4回実施する必要があるという。繰り返し陰性となるまでは、偽陰性のおそれがあるためだ。偽陰性とは、実際には感染しているにもかかわらず、誤って陰性の結果が出ている状態を指す。

一方、陽性の判定が出た場合、ほぼ陽性と考えてよいとFDAは説明している。

最低でも2回行いたい簡易検査 キットは複数用意を

精度を上げるためFDAは、最低でも2回の簡易検査を推奨している。1回目の簡易検査で陰性となった場合、48時間後に2回目の検査を実施すべきだという。

2回目の診断で再び陰性となった場合も、まだ感染の可能性が高いと本人が感じるのであれば、再び48時間後に3回目の簡易検査または本格的なPCR検査を受けるよう勧めている。

3回目を簡易検査とし、結果が陰性であっても、新型コロナウイルスに曝露した可能性が高いと考えられる場合は、最大で4回目の簡易検査を実施するよう促している。

いずれの段階であっても、一度でもウイルスが検出され陽性判定となった場合、「おそらく新型コロナに感染している可能性が高い」とFDAは説明している。

このように複数回の検査が必要な場合があることからFDAは、家庭で検査を行う場合、あらかじめ複数の検査キットを用意しておくよう案内している。買い占めは論外だが、1回の使用のみで誤った結果に流されることのないよう、適切な数を用意したい。

BA.5系統でとくに高い偽陰性リスク

偽陰性が出るリスクは、とくにここ最近猛威を振るっているBA.5系統で高いようだ。米ロサンゼルス・タイムズ紙は、「誤った結果が出るリスクは、以前のものと比較すると、最近優勢のオミクロン株亜種であるBA.5に感染した人々のあいだでより高くなっているとみられる。専門家らがこのように指摘しており、追加検査の重要性を改めて示唆している」と指摘している。

同紙によると研究室での解析を必要とするPCRテストは、結果が出るまでに丸1日以上を要するが、95%という高い検出精度を誇る。対照的に、家庭用の簡易検査は15分程度で結果が出る手軽さが利点だが、精度は最低で80%となっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

再送 -EUが米ファイザーRSVワクチン承認拡大、

ワールド

米民主上院議員が25時間以上演説、過去最長 トラン

ワールド

メキシコ政府、今年の成長率見通しを1.5-2.3%

ワールド

米民主上院議員が25時間以上演説、過去最長 トラン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中