ロシア侵攻から半年 新学期を米大学で迎えるウクライナ人学生
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米国の大学から送られてくる合否通知の開封の場面を自撮りして、動画をネットで公開したい──。写真は16日、米ロードアイランド州プロビデンスのブラウン大で読書するウクライナからの留学生(2022年 ロイター/Brian Snyder)
米国の大学から送られてくる合否通知の開封の場面を自撮りして、動画をネットで公開したい──。フリブ・ブルツェフさん(18)は、そう考えていた。朗報だったら、家族と抱き合って歓声を上げることを想像しながら。
だがその通知が届く時期、ブルツェフさんはウクライナの首都キーウで、窓のない部屋か防空壕で息を潜めていることが多かった。空襲警報のサイレンと暗闇のせいで、自撮り動画アップの計画は台無しになった。
ロシアによるウクライナ侵攻開始から約1カ月後の3月31日、米アイビーリーグの名門校ブラウン大学から合格通知が届いた。同大は、ウクライナでの戦禍を理由に、ブルツェフさんのために夏期講習への参加資格や食費、航空旅費、そして住居費を負担すると申し出た。
「はるか離れた地にある大学から、こうした支援を受けられるとは思ってもいなかった」とブルツェフさんは言う。「初めて出会う人々、新しい機会、すべてが刺激的だ」
米国の大学が「安全な避難先」に
米国際教育研究所(IIE)が559校を対象に行った調査では、120校以上の大学がウクライナ人学生への支援の取り組みを行っていると回答した。だが、実際の数はそれよりはるかに多いと見られる。
支援内容は、出願期間の延長や出願に必要な公的書類の一部免除、ウクライナ人学生向けの入学枠の拡大、そして経済的な援助などだ。紛争が6カ月目に入った現在、こうして入学を認められた学生たちが、秋学期を迎える大学のキャンパスに到着しはじめている。
シカゴ大学は、ウクライナ人学生の授業料補助など2000万ドル(約27億ドル)規模の支援を開始した。テキサスA&M大学は授業料、入学金、生活費を補助対象としている。バージニア州のハンプトン大学はこの夏、戦禍の影響を受けた学生最大100人を無料でキャンパスに招いた。
IIEのジェイソン・チェズ共同総裁は、世界の学生にとって米国の高等教育機関が「安全な避難先」になっていると語る。
ウクライナ人学生たちは多くの障害を克服しなければならなかった。在キーウ米国大使館は現時点では就学ビザの発行を行っておらず、キーウ以外にある領事館まで足を運ばざるを得ない。また男性がウクライナを離れることは難しく、召集を免れるためには学生であることを証明しなければならない。
オレクサンドル・シンハイフスキーさん(18)は、今秋ジョージタウン大学に入学する予定だが、4回目の挑戦でようやくウクライナからモルドバに出国できた。就学ビザ取得のためにルーマニアに行き、ジョージタウン大学の支援により2週間ホテルで過ごした。