米医大で難しくなった中絶技術習得 最高裁判決で医療界に危機感
こうした訓練はドラゴンフルーツやパパイヤを使って行われることが多く、一部の医師や中絶の権利擁護団体は、こうした訓練では実際の治療への備えが不十分ではないかと懸念を示している。
中絶権擁護団体、メディカル・ステューデント・フォー・チョイスのパメラ・メリット事務局長は「非常に優れた医学部ですら、現代医学教育を受けていない学生を卒業させている例があることをとても心配している」と言う。「妊婦の命を救うために治療する許可を得たとしても、実際には治療できないだろう」
一方で中絶反対派は、医学部や研修医制度が任意の中絶を行う方法を教えなくとも、女性の命を救うための緊急処置の教育が途絶えることはない、と主張している。
中絶反対団体、ステューデント・フォー・ライフ・オブ・アメリカの広報担当者、クリスティ・ハムリック氏は「中絶権擁護派は問題を抱えていない女性に向けて、誤った情報や脅しをかける戦術を用いている」と述べた。
中絶禁止になれば研修は州外で
シンシナティ大学医学部の大学院医学教育担当副学部長でACGMEのメンバーであるルイ・エジェ氏は、ほとんどの機関が研修医の州外研修を支援するよう期待していると話す。
しかし、少ない施設に多くの学生が殺到し、全員に実践的な訓練を受けさせるのに十分な患者がいなければ、支障が生じかねないと問題点を挙げた。
ミシガン大学では研修医の受け入れに備えて専門チームを設置した。だが、同チームを率いるリサ・ハリス教授(産婦人科)によると、州内の中絶を巡る法的状況は刻々と変化しており、ミシガン州が中絶を禁止した場合には研修医の州外研修を助ける手段も検討しているという。
(Rose Horowitch記者)