「ビールで熱波対策しましょう」英医師のツイートに議論百出
猛暑の水分補給には、ビールが適している? Ridofranz-iStock
<イギリスの医師によるとビールは、猛暑日の水分補給源として優れているのだという>
ロンドンが位置する英イングランドを、まれにみる猛暑が襲っている。7月19日には気温が40度を超え、観測史上最高を記録した。現地ではエアコンがほとんど普及しておらず、熱中症による健康被害が憂慮されている。
そんななか、イギリス在住のある医師が酷暑でも安全に暮らす方法をツイートし、その意外なテクニックが注目を集めた。水分補給の手段として、適量のビールの摂取が効果的なのだという。アルコールには利尿作用があり脱水を促すと一般に知られているため、このアドバイスは人々を驚かせたようだ。
ツイートをしたのは、オーストラリア出身でロンドン在住のエリー・ロバーツ医師だ。彼女は自身のTwitterで、熱波対策に有効な10のテクニックの9つ目として、次のように記している。
「9.もし脱水状態になったのなら(そして成人であり、可能ならば)、ハーフパイントのビール(ノンアルコールのものでも!)を飲み、そしてすぐに水(または水が好きでないなら、スポーツドリンクかコーディアル)を飲みましょう。」 なお、コーディアルとはイギリスなどで飲まれている伝統的なシロップ飲料だ。
しかし、アルコールは利尿作用があることで知られている。飲み会に行くとトイレが近くなるという人もいるだろう。このことからTwitter上では、医師の投稿に対し、なぜビールなのかとの質問が多く寄せられた。ところが実際のところビールは、適量を守る限り、水分の補給源として適しているようだ。
水分と電解質豊富なビール、適量なら優れた水分補給源に
英デイリー・メール紙は、ロバーツ医師の見解を紹介したうえで、ほかの専門家に意見を求めている。英ミネラルウォーター会社で水分補給の専門家として勤務するスチュアート・ギャロウェイ博士がこれに応じ、ビールは1日の必要水分摂取量に含めてよいと説明している。
ギャロウェイ博士は、熱波のイングランドでは確実に水分を補給すべきであり、体内の水分量を確保することが重要だと指摘している。水単体で喉を通りづらいなら、ビールを水分補給のきっかけにしても問題ないという。
博士によると、ビールは水分を豊富に含有しており、さらに電解質、糖、塩分も含まれる。こうした成分が水分を体内に留めておく作用を生じることから、水分補給の手段として適しているのだという。
ただし博士は、2パイント以上を飲んでしまうと脱水につながるとも付け加えている。ハーフパイントで喉を潤したあとはビールを飲み続けず、水やスポーツドリンクなどに移行することが大切のようだ。
イギリスのハーフパイントは284mLなので、日本でいえばビールの小瓶(334mL)よりも少し少ないくらいの量を飲み、すぐに水やスポーツドリンクなどで追加の水分を補給するとよいということになる。