破滅の加速か、世界秩序の統合か──「大転換」した中国と紛争を避けるには?
RISING POWERS
中国の統治システムは行政機関同士の説明責任のメカニズムを通じて、国民の大多数に大きな効果をもたらすことに重点を置いている。しかし欧米の視点からすれば、法や手続きのルールや個人の権利を重視する選挙による民主主義とは根本的に異なる制度であり、容認し難い。
双方のこうした相違は、中国の大転換が西側諸国から否定的な反応を引き起こしている理由を説明する上で役に立つ。危険なのは、メディアやテクノロジー、金融、貿易など本来なら協力の場である分野の「武器化」が、緊張の激化や、ひいては戦争につながることだ。
中国、インド、インドネシアは2050年までに世界の経済規模トップ5に入ると予想されている。大規模な紛争を防ぐには、多極的な国際秩序を構築する必要がある。
今日では、核と破壊的な技術を保有する大陸サイズの新興国の間で競争が起きている。ポラニーは、大転換には無限の需要と限られた資源とのバランスが必要だと理解していた。この問題を解決するには、戦争で地球と人類の破壊を加速させるか、全ての国をバランスの取れた世界秩序に統合し、平和と人類の生存を達成するしかない。
全ての国の優先順位や制度、価値観を一致させ、ハイエクやポラニーなど知識人の助言に耳を傾けさせるのは非現実的だ。とはいえ、私たちは終わりなき衝突の世界に生きることを運命付けられたわけではない。
平和と繁栄と健全な地球を目指すグローバルな「大転換」のために共通の基盤を見つけ、建設的な関与を追求し、妥協することは可能だ。いや、そうしなくてはならない。