イタリア初の女性首相候補は、極右と呼ばれることが嫌いな「極右政党」党首
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メローニ率いる「イタリアの同胞」は「唯一の野党」として支持を拡大してきた PIER MARCO TACCA/GETTY IMAGES
<9月25日の総選挙で、ジョルジャ・メローニ率いる「イタリアの同胞」が第1党になる見込み。コロナ復興基金からの莫大な借金、EUとの関係、そして極右政権と、あまりにも重すぎる「ドラギの置き土産」>
イタリアはこの1年半、マリオ・ドラギ首相の下で、数十年ぶりにEUの柱の1本として復権したように見えた。
元ECB(欧州中央銀行)総裁のドラギは、イタリアと近隣諸国が新型コロナウイルスの大流行や、ウクライナの壊滅的な戦争、エネルギー危機を乗り切ろうとするなか、重要な役割を担ってきた。イタリアは再び、フランスやドイツとほぼ同じ影響力を持つようになりつつあった。
しかし7月21日、昨年2月にドラギがほぼ全政党から支持を取り付けて発足した連立政権が崩壊した(ドラギは総選挙まで暫定首相を務める)。選挙モードに突入したイタリアは、最悪のタイミングで不確実性の沼にはまっている。
複数の世論調査から、9月25日に予定されている総選挙では極右政党「イタリアの同胞」が第1党になる可能性が高く、党首のジョルジャ・メローニが、イタリアでは第2次大戦後初となる極右勢力(かつ初の女性)の首相になりそうな勢いだ。
ドラギ政権下で唯一の野党だった「イタリアの同胞」は、ここ数カ月で着実に支持を広げている。現在の支持率は約23%で、中道左派の民主党と拮抗している。
さらにメローニは、極右政党の「同盟」(元「北部同盟」)を率いるマッテオ・サルビニと、中道右派の「フォルツァ・イタリア」を率いるシルビオ・ベルルスコーニ元首相と連合を組んでいる。総選挙の得票率は合わせて約45%に達する見込みで、安定多数の議席を確保できそうだ。
彼ら右派連合が、さまざまな問題に対して具体的にどのような立場を取るのかが不透明なため、EUは不安を抱いていると、シンクタンクのヨーロッパ外交評議会のアルトゥーロ・バルベリは言う。
対ロシアで割れる対応
既にハンガリーとポーランドの右派政権がEUの正当性に疑問を投げ掛け、法の支配や人権、民主主義をめぐる対立が激化している。メローニは極右と呼ばれることを嫌っているが、これら2国の指導者とは似ているようだ。