最新記事

イタリア

イタリア初の女性首相候補は、極右と呼ばれることが嫌いな「極右政党」党首

Populists at the Gates

2022年8月4日(木)14時12分
ミケーレ・バルベロ(ジャーナリスト)

メローニの政党は、イタリアのネオ・ファシズムの流れと関連が深く、彼女自身、「大量移民」に対する国境警備の強化や、ヨーロッパの「キリスト教のルーツ」の擁護、「LGBT(性的少数者)ロビー」との戦いを支持している。

ロシアに関しては、イタリアの右派は、各党でバラバラな姿勢を見せている。メローニは対ロシア制裁に反対していたが、戦争が始まってからはウクライナとNATOを断固支持する姿勢を示し、西側が「あらゆる有用な手段」を展開してウクライナを支援することを求めている。

一方で、ベルルスコーニはロシアのウラジーミル・プーチン大統領と長年親交があり、ウクライナに「プーチンの要求を受け入れる」よう促している。サルビニもこれまでロシアの指導者を公然と称賛しており、ウクライナへの武器供与に反対している。

ユーロ圏第3の経済大国であるイタリアは、GDP比で150%を超える世界でも最高水準の公的債務を抱え、投資家やEUから厳しい目を向けられている。

選挙戦では右派陣営の提案の多くが、EUが好む財政緊縮とは程遠い支出拡大を示唆している。フォルツァ・イタリアは年金支給額の引き上げを、同盟は早期退職制度と広範な租税特赦(未申告の所得などを期間内に申告して全額納税すれば、罰金を減免して刑事告発を免除すること)を、それぞれ公約に掲げている。

ドラギの残した置き土産

ドラギ時代の牧歌的な雰囲気から一転してEUとの関係が悪化すれば、イタリアの経済回復は危ぶまれる。EUはコロナ禍復興基金からイタリアに2000億ユーロを割り当てているが、裁判期間の短縮や公共入札ルールの簡素化、公正でオープンな市場競争の促進など、さまざまな改革が条件となっている。

250万ユーロは既に受け取ったが、残りを確保するためには、誰がイタリアの舵を取るにせよ、改革を推し進めなければならない。しかし、強力なロビー団体や行政機関の非効率性を克服して、EUが求める基準を満たすには、右派・左派を問わず不足しがちな決断力が必要だ。

9月末にドラギが退任する頃には、改革の土台づくりの多くは終わっているはずだ。しかし、EUに懐疑的な新政権が誕生した場合、EUとの相互不信が残りのステップを複雑にする可能性があると、政府の顧問を務めるボッコーニ大学(ミラノ)のカルロ・アルトモンテ准教授は言う。

昨春、財政と競争の改革を求めてイタリアに圧力をかけたEUに対し、サルビニは「通知表や官僚的な叱責を控える」ように求めた。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

25年世界スマホ出荷2%増、アップルがシェア20%

ビジネス

26年の原油価格は下落へ、供給増で=ゴールドマン

ビジネス

FRB議長に召喚状、政権の圧力未踏の領域に 市場に

ワールド

李大統領、13日に日韓首脳会談 対中関係とのバラン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画をネット民冷笑...「本当に痛々しい」
  • 4
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    美男美女と話題も「大失敗」との声も...実写版『塔の…
  • 10
    筋力はなぜパワーを必要としないのか?...動きを変え…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 6
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 7
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 10
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中