韓国ユン大統領、就任3カ月で支持率30%割り込む不人気 検察改革への横槍や与党内紛に国民うんざり
警察局の新設問題とともに、いやそれ以上に尹政権と与党国民の力への支持低下をもたらしている問題が尹大統領の与党幹部へのテレグラムメッセージ流出問題だ。
尹大統領が与党代表を批判
問題は7月26日の韓国国会内で起きた。与党・国民の力の権性東(クォン・ソンドン)党代表職務代行兼院内代表が議場内で見ていたスマホの画面に尹大統領からテレグラムでメッセージが届いた。
「(党)内部に銃を向けていた党代表が交代し、変わった」
ここで言及された党代表とは、昨年6月、36歳の若さで党代表に選出された李俊錫(イ・ジュンソク)代表のことだ。国政選挙の経験こそないものの党最高委員を歴任し保守若手のホープとして期待されていたが、昨年12月に性接待疑惑を報じられ(本人は否定)、証拠隠滅を図ったとの市民団体の提訴により今年7月7日に党員資格停止6カ月の懲戒処分を受けている。これに対し李代表は「規定では懲戒処分権は党代表に与えられている」として自身に対する処分の不当性を訴え党執行部と対立している。
こうしたさなかに党代表を代行する権院内代表へ尹大統領が送ってきたのが前述のテレグラムのメッセージだった。ところが、タイミングが悪いことにこのメッセージが開かれたスマホの画面が国会記者団のカメラマンに撮影され、世間の目にさらされてしまったのだ。
それまで李代表をめぐる問題などについて尹大統領は「党務に言及するのは適切ではない」と表向きは慎重な姿勢を見せていたが、今回のテレグラム流出問題で党重鎮は「メッセージを見れば執行部が龍山(大統領室)の指示にそのまま従うか、龍山からの命令を遂行しているようなスタンスを取っていると国民は見るだろう」と、尹大統領自身が与党の内紛の遠因であるかのように批判している。
このテレグラム流出をめぐっては、問題の写真を撮られた権院内代表が一連の騒ぎの責任をとって党代表職務代行を辞任すると7月31日に発表。また党の運営を非常対策委員会体制に移行させる考えを明らかにしたが、すんなりと事態の収拾が図れそうにはない。非常対策委員会体制に移行するためには党の規定で「最高委員会の機能喪失」が前提となるが、その解釈をめぐって尹大統領に近い勢力と李党代表に近い勢力が対立しているとされ、さらに非常対策委員長の任命は党代表か代表権限代行のみが可能となっており、さらなる党内紛争の引き金になりかねない状況だ。
こうしたなか、8月1日から尹大統領は5日間の夏期休暇を取った。通常歴代大統領は地方に行き静養を取るが、今回尹大統領はソウル市内の私邸にこもるという。山積する課題を解決する妙案を生み出す有意義な5日間となるかどうか、今後の尹大統領の動向が注目される。