韓国ユン大統領、就任3カ月で支持率30%割り込む不人気 検察改革への横槍や与党内紛に国民うんざり
文政権にとって、強大な権力をもつ検察から警察へ権限を移譲させ「検察による直接捜査の段階的廃止」させることは、政権の重要課題の一つだった。そうした検察改革の先頭にたつ者として選ばれたのが、日本でも有名になった曹国(チョ・グク)法相だ。ところが曹国は娘の不正入学疑惑などのスキャンダルが次々と明るみになり、法相を辞任。その際に曹国を起訴した検察のトップこそ当時の尹錫悦検察総長だ。
こういった経緯から文政権と尹錫悦は次第に対立するようになり、尹は2021年3月に辞任を表明。さらに3カ月後には曹国をめぐるスキャンダルや不動産価格対策の失敗など文政権に失望した国民の声に推される形で大統領選への立候補を表明した。
警察の独立性すら奪いかねない組織改編
今回、尹政権が設置を決めた警察局は警察と関連した重要政策や法令の審議、警察幹部の任用、自治体参加の自治警察の支援などの業務を担うとされる。警察局の設置について韓悳洙(ハン・ドクス)首相は「前政権では大統領府の民情首席秘書官室が管掌していた警察庁に対する実質的な統率を、行政安全部の長官がより民主的で透明に行うためのものだ」と説明している。だが、実態としては文政権による「検察による直接捜査の段階的廃止」によって検察が公訴するだけの役所になることにストップをかけ、政権が警察を監督するということで警察の独立性すら奪いかねない組織改編との指摘が出ている。
当然ながら念願の捜査権の拡大を絶たれた警察側は反発を強め、政府との対立が深まっている。7月25日には約650人いる全国の警察署長の半分を超える357人が参加した会議が開かれ、警察局設置を見送るよう求めた。ところがこうした動きに警察庁は、会議を主導した蔚山中部警察署署長に自宅待機を発令するなど参加者の集団懲戒を示唆。尹大統領も「政府が憲法と法律にもとづいて進める政策と組織改編に警察が集団で反発することは重大な綱紀の乱れになり得る」と批判。警察側は一層の反発を強めているのが現状だ。