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ウクライナ情勢ロシア外相「制圧対象はウクライナ東部だけでない」 軍事作戦の目標拡大鮮明に

ロシアのラブロフ外相は20日、ウクライナにおけるロシア政府の軍事作戦は現時点で親ロ派勢力が実効支配するウクライナ東部ドンバス地域を超えたとし、戦争の目標を拡大したことを鮮明にした。8日撮影(2022年 ロイター/Willy Kurniawan/Pool)
ロシアのラブロフ外相は20日、ウクライナにおけるロシア政府の軍事作戦は現時点で親ロ派勢力が一部を実効支配する東部ドンバス地域を超えたとし、戦争の目標を拡大したことを鮮明にした。
ロシアのプーチン大統領は2月にウクライナ侵攻に踏み切った際、ウクライナ領土を占領する計画はないと言明していたものの、ラブロフ外相は国営メディアのインタビューで、3月下旬のウクライナとの和平交渉で突破口が開けなかったことを受け、状況は変化したと指摘。
「もはや(親ロシア派支配地域の)ドネツク人民共和国やルガンスク人民共和国のみではない。(南部)ヘルソンやザポロジエ地域、他の多くの地域も含まれる」とし、制圧を目指す地域がルガンスク・ドネツク2州のドンバス地域から拡大していることを明示した。
さらに、西側諸国がウクライナに対し高機動ロケット砲システム「ハイマース」など長距離兵器の供給を続ければ、ロシア軍による地理的な作戦が「現在のラインからさらに拡大する」と警告した。
ウクライナのクレバ外相はラブロフ氏の発言に反発。「ロシア外相はウクライナの領土をさらに奪うという夢を告白し、ロシアが外交を拒否して戦争やテロ行為に焦点を当てていることを証明した。ロシアが求めているのは血であり、話し合いではない」と批判した。
米政府はロシアによるウクライナ領土の併合に抵抗すると表明。当局者は前日に、ロシアがウクライナで制圧した地域を正式に併合するために準備を整えているとの認識を示していた。
米国務省のプライス報道官は20日の定例会見で「武力併合は明確な国連憲章違反だとわれわれは説明してきたし、それがまかり通る状況にはさせない」と述べた。
米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長はドンバス地域はまだロシアの手に落ちていないと指摘。ウクライナ軍は既にルガンスク州から撤退している。
オースティン米国防長官は、ウクライナに対しハイマース4基を追加供与すると明らかにした。
一方、南部ザポロジエ州でロシア側が一方的に設置した行政府は、同州にある原子力発電所にウクライナ側が無人機で攻撃したが、原子炉に被害はなかったと発表した。ロイターは真偽を確認できていない。
