ウクライナ戦争に「酷似した戦争」が20世紀にあった...その「結末」から分かること
The Korean War Redux
米中対立の主戦場は海洋
一方で、中国は東アジアのリムランドに位置するため、インド太平洋地域以遠では軍事的な影響力が制限される。中国の影響を直接受けない同盟国とアメリカの間で中国の脅威に対する認識が異なれば、中国に対抗しようという努力は阻害されるだろう。長期的には、中国の影響力の地理的な範囲が限定的であることは、欧米の結束に問題を投げ掛けるかもしれない。
地理的条件は、米中対立が米ソ冷戦より不安定になる可能性が高い理由でもある。陸上が中心だった米ソ冷戦と対照的に、米中対立の主戦場は海洋だ。インド太平洋の広大な部分が予測不可能な海域になりかねない。
海洋の支配権争いは偶発的な衝突が起こりやすく、この地域の影響力を争ううちに、海上での限定的な(しかし不安定で悪化しやすい)戦闘を始めたいとの誘惑に駆られるかもしれない。さらに、既に進んでいるデカップリングは、朝鮮戦争の時代を上回る摩擦を世界にもたらすだろう。
過去30年のグローバリゼーションは、大国間の対立は時代遅れの遺物になったという夢を見させた。しかしウクライナの戦争が、世界を異なる現実に目覚めさせた。

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