受験勉強のために、思春期に本を読まない日本の中高生
人間形成にとって読書の意義は大きい Marcus Lindstrom/iStock.
<日本の高校入試では学力が最大の選考基準になるが、諸外国では学力はそこまで重視されていない>
もうすぐ夏休みだが、時間ができる長期休暇では、子どもたちに本を読んでほしい。人間形成にとって読書の意義は大きく、法律でも「読書活動は、子どもが、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないもの」と言及されている(子どもの読書活動推進法第2条)。
実際のところ、日本の子どもはどれほど本を読んでいるのか。調査データは数多いが、最近の公的調査として国立青少年教育振興機構の『青少年の体験活動等に関する意識調査』(2019年)がある。学年別の数値も出ていて、発達段階による比較も可能だ。<図1>は、1カ月に読む本の数の分布をグラフにしたものだ。
小学校4年生では回答が割れているが、学年を上がるにつれ「ほとんど読まない」の割合が高くなる。パーセンテージを見ると、小4では18.5%だったのが中2では29.5%となり、高2では58.8%まで跳ね上がる。中学生の3割、高校生の6割が本を読んでないことになる。受験勉強で時間が取れないためだろう。
自我が芽生え、人生とは何か、自分はどう生きるかに思いをはせる、すなわち「内面」を生きる時期こそ、多くの書物に触れることが望ましい。おおよそ中高生の頃だが、日本の現実を見ると、本を読まない時期になってしまっている。ウチにこもりたいが現実はそれを許さず、こうした葛藤が非行につながることもある。