フィリピン新政権、独裁者の息子と前任者の娘を待つ「正と負の遺産」
就任式でのマルコス(右)とサラ ELOISA LOPEZーREUTERS
<新大統領マルコスが就任。好調な経済を引き継ぎ、内政は現状維持でも、外交は変化がありそうだ>
フェルディナンド・マルコスJr.が6月30日、フィリピン大統領に就任。独裁者の父による血塗られた時代の記憶を、懐古的な「黄金時代」に塗り替えることに成功した。
ただ、今後のフィリピンを黄金時代に導くには、インフレや新型コロナなど数々の現実的な課題に向き合わなければならない。それでも、今年1~3月期の成長率が8.3%と好調な経済を引き継げることは大きな利点だ。
新政権にはドゥテルテ前大統領の影が色濃く残る。副大統領を務めるのはドゥテルテの娘のサラ。マルコスは前政権の進めた薬物取り締まりの継続も表明している。
内政は現状維持でも、外交は変化がありそうだ。米政府は、ドゥテルテ時代の対米敵対姿勢が和らぎ、中国とは距離を置くことを期待する。
それでも、大統領就任式に王岐山(ワン・チーシャン)国家副主席を派遣した中国に比べ、アメリカはハリス副大統領の夫ダグラス・エムホフを派遣するにとどめるなど、慎重な姿勢だ。