選挙報道、このままでいいのか?──踏み込んだ人物評がなくては選べない
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<政治への関心がますます低下し、特に若者の無関心が指摘される。しかし、候補者の顔がよく見えない上に、そもそも選挙がおもしろくない理由のひとつは、報道そのものにある>
どうも日本の選挙は盛り上がりにかける......ながらく、そう言われてきた。
確かに欧米などと比べればそう言えるが、祝祭的な雰囲気が薄いだけで、一定以上の関心は集めてきたはずだ。しかしながら、近年はそうとも言えない状況にある。
前回2019年7月の参院選の投票率は48.8%。90年代の後半以降、参院選の投票率は50%台で推移していたが、それが50%を割り込んだ。今回2022年7月の参院選では投票率がどうなるかわからないが、10代から30代が選挙に関心を持たないという従来の傾向は変わらないだろう(*1)。
10代から30代の投票率が低い理由は、多岐に及ぶ。たとえば、労働者としての経験が浅く、家庭を持つ人も相対的に少ないという青年期の特徴が挙げられる。社会との関与が弱ければ、経済対策や社会保障制度が他人事にみえやすいからだ。その他、二大政党制の非定着、現実政治を忌避する教育なども理由として挙がる。
このように、青年期に限って言えば、選挙に関心を持ちにくい環境がある。関心がなければ、そもそも知ろうと思えない。わからない。面白くないのも当然である。国のあり方を決める大切な選挙だと言われても実感を持てないのだ。
では、選挙が面白くない原因はどこにあるのだろうか。これもまた原因は多岐に及ぶが、選挙報道の形骸化が大きいと思われる。
選挙報道を面白くするために
選挙報道を考えるにあたって、取り上げるべきは新聞記者や雑誌記者たちによるジャーナリズムだ。
なお、テレビについては特に注文はない。放送法を意識しすぎているのか、「中立・公正」に縛り付けられているように見えるからだ。特に選挙期間中はその傾向が強い。これからも投票日の夜の特番で、結果を報告するだけだろう。もちろんそれで十分なのである。
問題は、新聞や雑誌、そしてそれらのコンテンツのネット配信だろう。ここには、選挙報道を面白くするチャンスがある。
そう考える理由のひとつは、昨年10月31日の衆院選だ。報道各社の議席予測にバラつきがあり、選挙結果と大きくズレた。
近年は、各社の予想が一致しており、的中率も高く、投開票を待たずとも大勢を見通すことが可能だった。その議席予測が前回の衆院選で外れたのだ。理由は、事前分析の方法の変化にあるとも言われる(*2)。
各社の調査の精度が高いのは信頼性という観点から言って良いことだが、予想通りでは端的に言って面白くない。そう思えば、各社が調査と予測に苦慮している現状は、裏を返せば先の読めない選挙になりやすいということである。有権者の関心を高める要因となり得るだろう。