HIMARS使用を高く評価されるウクライナ軍だが、いずれロシアに研究される
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ウクライナ軍には時間との戦いもあると、カレニウクは指摘する。厳しい冬が始まる11月頃までに、ロシア軍に占領された地域の解放を始めなければ、ロシアが得意とする長期戦にもつれ込む可能性があるという。
前出のウクライナ軍高官は、最終的に数十基のHIMARSが供与されることを期待していると語った。カレニウクはウクライナが反撃を開始するためには、ATACMSを搭載した砲台40基と、ロシアの反撃をより回避しやすい自走榴弾砲「パラディン」が必要だとの見方を示した。
ウクライナの当局者らが懸念するのは、いずれロシアがHIMARSへの対抗策を見つけることだ。加えてイランがロシアに対し、最大100基の戦闘用ドローンを供与する可能性があることにも不安が広がっている。HIMARSは空からの攻撃に太刀打ちできないというのだ。
専門家は、HIMARSによって今後ロシアの弾薬庫がさらに破壊されたとしても、現在の膠着状態をさらに長引かせるだけではないかと考えている。
「指揮所や弾薬庫を攻撃すれば、ロシアの攻勢を失速させられる」と、外交政策研究所のリーは言う。「だからといって、HIMARSがウクライナに領土奪還の能力をもたらすことにはならない」