「月給65万円でもウクライナで戦いたくない」 徴兵忌避増えるロシアの若者
キリルさんによれば、6月、彼が不在のときに警察が自宅を訪れ、母親になぜ息子が兵役を忌避しているのか尋ねたという。キリルさんの証言の裏付けを得ることはできなかった。ロイターは、ロシア内務省のメディア広報担当部署に取材を試みた。電話に出た担当者には別の電話番号を教えられたが、何度かけても応答がなかった。
月給65万円を提示されるも......
ウクライナ政府と同国を支援する西側諸国政府は、ロシアはすでに、1979-89年のアフガニスタン侵攻の際にソ連軍が失った1万5000人と同程度かそれ以上の犠牲を出していると推測している。ロシア政府は3月末、ウクライナでの軍事作戦開始以来、ロシア軍兵士1351人が戦死し、数千人が負傷したと発表したが、その後公式の戦死者数は更新されていない。
ロシアが兵員の補充を模索している兆候はある。5月、プーチン大統領は軍への志願者に対する40歳の年齢上限を撤廃する法律に署名した。このとき国会議員らは、この改正により先端的な装備やエンジニアリングなどの専門分野における経験豊富な人材が集まるはずだと述べていた。
匿名を希望する30代のロシア人男性はロイターに対し、いくつか個人的な事情を確認したいという建前で、軍のオフィスに出頭するよう電話で要請されたと語った。オフィスでは、軍服を着た正体不明の男性が過去の従軍歴について質問し、ウクライナでの戦闘に参加すれば月額30万ルーブル(約65万円)の報酬を出すと申し出たという。
ロイターではこの証言について独自の裏付けを得ることができなかった。
この男性は、自分は職業軍人ではなく、兵役を終えて以来1度も銃を発射したことがないことを理由に、このオファーを断ったという。
「30万ルーブルもらっても、死んでしまっては何もならない」とこの男性は話した。
(翻訳:エァクレーレン)