最新記事

教育

学校外のプールで行う水泳の授業はいいことだらけ

2022年6月22日(水)11時30分
舞田敏彦(教育社会学者)
水泳クラスの子供

全国の至る所にプールはあるので、こうした地域資源は活用すべき FS-Stock/iStock.

<熱中症の心配はなく、専門家による指導は充実、コスト削減にも繋がる>

水泳のシーズンになった。最近は、学校の水泳の授業を校外のスポーツ施設のプールで行う動きが出ている。スイミングスクールの屋内プールなら、熱中症の心配はない。講師は水泳のプロなので指導は充実する。スイミングスクールに払う費用は、学校のプールの維持管理費よりも大幅に安い。良いこと尽くしだ。

全国の至る所にプールはあるので、こうした地域資源を大いに活用すべきだ。やや古いが、2018年度の文科省『体育・スポーツ施設現況調査』によると、公共・民間のスポーツ施設のプール数は4,224となっている(多くが屋内)。都道府県別に見ると東京は285で、筆者の郷里の鹿児島は88だ。1つのプールを何人の児童で使うことになるか、どれほどの広さの土地に1つのプールがあるか、という数値に加工すると<表1>のようになる。

data220622-chart01.png

東京の公立小学生は58万786人なので、学校外の1つのプールを2038人で使うことになる。1回に使える人数が50人とすると、40回ほどローテーションすればいい。まとまった時間の水泳の授業が年間5回とすると、1つのプールの年間使用回数は200回。1日に2回利用させれば、100日(3カ月ちょっと)ですむ。

この間、午前中プールを学校に貸し出しても、一般の利用者の妨げにはなるまい。屋内プールは空調や水温管理も効くので、夏に限る必要もない。鹿児島では、もっとゆとりある形で使える。

次に、学校からプールへの移動だ。送迎はバスで行うことになるが、あまりに遠いと時間がかかる。そこで何キロ四方の土地にプールが1つあるかを出したところ、東京は4.99㎢(2.23キロ四方)の土地に1つある。これならバスですぐだ。鹿児島は最大片道6キロ移動しなければならず、やや時間がかかる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場・寄り付き=ダウ約300ドル安・ナスダ

ビジネス

米ブラックロックCEO、保護主義台頭に警鐘 「二極

ビジネス

FRBとECB利下げは今年3回、GDP下振れ ゴー

ワールド

ルペン氏に有罪判決、被選挙権停止で次期大統領選出馬
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 5
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 10
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中