最新記事

教育

学校外のプールで行う水泳の授業はいいことだらけ

2022年6月22日(水)11時30分
舞田敏彦(教育社会学者)

この2つが、学校外のプールの使いやすさを測る指標となる。<表2>は47都道府県別の数値を小さい順に並べ、上位10位と下位10位を挙げたものだ。上位の県ほど1つのプールあたりの児童数が少ない、近場にプールがある、すなわち使い勝手が良いことになる。

data220622-chart02.png

まずは左側だが、児童数の多い都市部はちょっとキツイが、地方ではゆったりと使える。高知は1つのプールあたりの児童数は656人で、1回50人とすると13回のローテーションですむ。授業回数が年間5回とすると、1つのプールの年間使用回数は65回。1回の使用人数を、もっと少なくしてもよさそうだ。

次にプールの立地密度だが、岩手や北海道は最大片道8キロで、バスで20分ほどかかりそうだが、都市部は数分で済む。ただ渋滞や事故等、不測の事態で他の授業時間が減ってしまうこともあり得るので、施設での水泳の授業は長期休暇等にまとめて行うのもいい。

熱中症の心配なし、専門家による充実した指導、コスト削減......。学校外と連携することで、多くのメリットを引き出せる。公立中学校の部活動を段階的に地域に移管する方針が示されたが、教育を行う場は学校だけではない。学校外とも手を携え、教育の効果を高めていくべきだろう。

子どもは社会全体で育てる、という心構えが大事だ。日本は学校と外の社会を隔てる敷居が高いが、教育資源の活用や人事交流の面でもこれを崩していく必要がある。

<資料:文科省『体育・スポーツ施設現況調査』(2018年度)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

脅迫で判事を警察保護下に、ルペン氏有罪裁判 大統領

ビジネス

貿易分断で世界成長抑制とインフレ高進の恐れ=シュナ

ビジネス

テスラの中国生産車、3月販売は前年比11.5%減 

ビジネス

訂正(発表者側の申し出)-ユニクロ、3月国内既存店
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中