相次ぐ銃乱射で共和党に改心の兆し?
Is Republican Resistance to Gun Control Finally Breaking?
「もううんざりだ」ロブ小の銃乱射事件を知って怒り出したNBAウォリアーズのスティーブン・カー監督 Courtesy of Golden State Warriors/REUTERS
<銃乱射事件が起こるたび銃規制や身元調査の強化法案が提出されては共和党に葬られてきた。そこにわずかながら、AR-15型ライフル銃の禁止を支持するなど変化の兆しがみえる銃反対派が言う>
テキサス州ユバルディのロブ小学校で5月24日、児童19人と大人2人が亡くなる銃乱射事件が発生し、さすがの共和党も一部だが銃規制を支持する動きが出始めている。
共和党の下院議員クリス・ジェイコブスとアダム・キンジンガーは、銃乱射に使われたAR-15型半自動ライフル銃を禁止することに支持を表明した。大容量弾倉の販売も禁止し、他の銃器の購入についても法的要件を厳格化するべきだとしている。
スーザン・コリンズ、パット・トゥーミーをはじめとする他の共和党議員も、ロブ小学校の銃乱射事件を機に、銃購入者の身元調査の拡大が必要だとの持論を改めて展開している。
上院少数党院内総務のミッチ・マコーネルも、テキサス州選出の上院議員、ジョン・コーニンに対し、銃規制法案について、民主党との妥協点を探る交渉を率いるよう依頼した。
実効ある対策は進んでいない
アメリカでは銃乱射による無差別大量殺人が繰り返し起きているにもかかわらず、銃を規制する試みは共和党の上院議員の反対で通らなかった。
だが民主党のクリス・マーフィー上院議員によると、ロブ小の惨劇を受けて、銃規制に超党派の支持が得られる可能性が出てきたと、楽観的な見方を示した。
「現在は、超党派でより実のある交渉ができている。サンディフックの事件後と比べても、今は話し合いに応じる共和党議員が相当増えているのは確かだ」とマーフィーは5月29日、出演した米ABCの政治討論番組「ジス・ウィーク」で発言した。
「我々はレッドフラッグ法(危険と判断される人物から一時的に銃を没収する法律)についても話している。また、身元調査制度の強化と拡大も議題の1つだ。銃の安全な保管についても協議している。さらに、メンタルヘルス関係のリソースの問題や、学校警備費の増額についても話し合っている」とマーフィーは付け加えた。
だが、ネットメディア「アクシオス」のエリン・ドハティーが指摘しているように、銃乱射事件を受けた銃規制の試みは、これまでいつも挫折してきた。
2012年に児童20人と大人6人が射殺されたサンディフック小学校襲撃事件のときも、2018年にフロリダ州パークランドで起きた銃乱射事件のときも、あるいは2017年にラスベガスでコンサートの会場が銃撃を受けて60人が死亡したときも、銃規制強化や身元調査拡大の法案は共和党の支持がなくて成立しなかった。