「扇風機もない職場はかまど」 インドの工場労働者を40度超えの熱波が直撃
移民労働者を支える共同組織アージービカ・ビューローの幹部、マヘシュ・ガジェラ氏は「労働者の休憩室やウォータークーラー、午後の休憩時間などが設けられていないことについて、われわれは一貫して問題提起してきた」と言う。
だが「労働当局者や地域行政は、暑さ対策プランは勧告に過ぎないため、強制執行はできないと言う。工場内部は機械によってさらに温度が上がり、労働者は苦しんでいる」とガジェラ氏は語った。
米シカゴ大学エネルギー政策研究所の2018年の調査では、10日間の平均気温が1度上がると、工場労働者の欠勤確率は最大5%高まることが分かっている。
太陽光発電に補助を
この夏は猛暑でエアコンの使用が増え、電力需要が急増。電力不足が広がる中、多くの州は家庭向けの電力供給を優先し、工業拠点の停電時間を長くしている。
多くの企業は代替的な電源を持たず、停電の間は電力を一切断たれてしまう。一部企業からは、ソーラーパネルなどの取り付けに政府が補助を出すよう求める声も上がっている。勤務開始時間を早め、労働者が猛暑の午後に休めるようにする対策も検討されている。
今のところ、ほとんどのインド国民はモンスーンが来て気温が下がるのを待っている。生地プリント工場で働くヤダブさんの願いは、とりあえず工場に扇風機が設置されることだ。「扇風機と冷たい水があれば助かる。大きな変化には何年もかかるかもしれないが、まずはそこからだ」──。
(Anuradha Nagaraj記者)
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