最新記事

働き方改革

英国で週4日勤務の試験的プログラムが開始された

2022年6月13日(月)16時55分
松岡由希子

イギリスで週4日勤務が試験的に始まった sturti-iStock

<英国で、週4日勤務を試験的に導入する過去最大規模の試験的プログラムがはじまった......>

英国企業70社に勤務する労働者3300人以上が2022年6月6日、週4日勤務を試験的に開始した。金融機関や電話会社、EC専業小売業、飲食業、デジタルマーケティング会社など、様々な業種が参加。6カ月の期間中、労働者は賃金を100%受け取り、勤務時間が80%に減少するものの、100%以上の業務生産性を維持する「100:80:100」モデルが採用される。

事業での生産性や従業員のウェルビーイングへの影響を確認

過去最大規模となるこの試験的プログラムは、週4日勤務と未来の働き方や職場のウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態)について研究する非営利団体「4デイ・ウィーク・グローバル」を中心に、英ケンブリッジ大学、英オックスフォード大学、米ボストンカレッジ、英独立系研究機関オートノミーらの提携のもと、運営されている。研究チームは参加企業と協力し、事業での生産性や従業員のウェルビーイング、環境面や男女平等への影響について評価する計画だ。

このプロジェクトの主任研究員を務めるボストンカレッジのジュリエット・ショア教授は「ストレス、燃え尽き症候群、仕事と人生の満足度、健康状態、睡眠など、生活の様々な観点から、休日が増えると従業員はどうなるのか、分析していく」との方針を示している。

同様のプログラムとして、アイスランドでは、2015年と2017年、レイキャビク市役所とアイスランド政府の職員計2500人以上を対象に、週35時間勤務を試験的に導入した。その結果、職員のウェルビーイングが改善し、過半数の職場で生産性が維持・向上した。

多くの職員が「勤務時間が短くなってから、気分がよく、元気になり、ストレスが減って、運動や友人との交流、趣味などの活動にエネルギーを充てられるようになった」と回答。これが仕事にもポジティブな影響をもたらしたとみられる。

米国とカナダでも年末までに同様のプログラムに着手

「4デイ・ウィーク・グローバル」では、英国外でも「100:80:100」モデルによる週4日勤務の試験的プログラムを展開している。

北米では、2022年4月4日、38社の従業員2300人が週4日勤務を先行的に開始。2022年末までに米国とカナダで同様のプログラムに着手する計画だ。また、豪州とニュージーランドでは、22社が参加し、8月1日から6カ月にわたる週4日勤務を開始する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ポーランド、米と約20億ドル相当の防空協定を締結へ

ワールド

トランプ・メディア、「NYSEテキサス」上場を計画

ビジネス

独CPI、3月速報は+2.3% 伸び鈍化で追加利下

ワールド

ロシア、米との協力継続 週内の首脳電話会談の予定な
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 10
    「関税ショック」で米経済にスタグフレーションの兆…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中