うちの愛犬に噛まれたと言い張る女性を「撃退」した「犬の精神科医」
I Hired a Dog Psychiatrist
筆者は愛犬バルコを守り抜いた AGOTA GABOR
<何日も経ってから「かまれた」と言い掛かりをつけ始めた彼女に対し、犬の無実を裁判で証明する方法はほかになかった>
湖のほとりに立つコテージを購入したのは、一度は別れた夫と私がよりを戻し、娘と3人でカナダのトロントで暮らすことにしたときのこと。湖で泳ぐのを共にする犬も欲しくなり、入念なリサーチの結果、ポルトガルウオータードッグを飼うことにした。
評判の高い米デラウェア州のブリーダーを訪ねると、50頭を超える犬がいた。ほんの1分で毛むくじゃらのボールのような黒と白の子犬が私の膝に飛び乗ってきて、私たちの新しい家族になった。
私たちは子犬に「バルコ」と名前を付けた。ポルトガル語で船という意味だ。湖で一緒に泳ぐときは、私より先に進んでは私を気に掛けて戻ってくる。そして私にキスをして周りを泳ぎ、それからまた先へと泳いでいくのだ。
バルコが生後7カ月だった1999年10月のこと。私がごみ出しをしている最中にバルコが外に飛び出し、通り掛かりの女性を引っかく事件が起きた。
私は慌ててバルコを家に戻し、ジーンズが破けなかったか、けがをしていないかと女性に尋ねた。そして家の中にどうぞと声を掛け、ジーンズの弁償を申し出るとともにバルコのワクチン接種証明を見せようとした。だが彼女は、けがはしていないからと言って立ち去った。
1週間後に再びやってきた彼女
ところが1週間後、女性が再びやって来た。帰宅後に引っかき傷から出血していることに気付いて受診したところ、狂犬病の恐れがあるから動物管理当局に事件を届けるよう医師に指示されたと言うのだ。
予防接種はきちんと済ませているし、そもそも痛くも何ともないと言っていたのにどういうことなのか? 気が変わったのだと彼女は言った。
次の週、動物管理当局の人が家に来た。バルコはとてもいい子にしていたが、口輪の装着を命じられた。女性の主張が間違っていることを私が証明できなければ、バルコは一生、口輪を着け続けなければならない。私は何とかしてバルコの無実を証明しようと心に決めた。
ニューヨークに犬の精神科医がいることを突き止め、電話で状況を説明した。力を借りるには、トロントまで来てもらって事件が起きた状況を再現するしかない。依頼料は1時間当たり200ドルだったが、バルコのためなら何でもやるつもりだった。