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ウクライナ軍、電動バイクを投入 最高時速90キロの特注品で無音移動

2022年5月31日(火)19時00分
青葉やまと

ウクライナを本拠とするELEEK社は、過去10年ほどこの製品を製造し、世界中で販売してきた。侵攻が始まると同社は、すぐに戦地での活用の可能性に思い当たったようだ。担当者はワー・ゾーン誌に対し、「このモデルのバイクは、在庫すべてを無償で軍に譲渡しました」と語る。

伝令から攻撃までこなす

市販仕様のeバイクが戦場に持ち込まれると、兵士のあいだで大変な好評を博した。ウクライナ軍はこれを受け、さらなる導入拡大に動いている。兵士たちからのフィードバックを添えて、カスタマイズを施した特注モデルをELEEK社に発注した。

軍の要望に応えた特注モデルは、より大型のバッテリーを搭載し、5時間の充電で最大150キロまでの航続距離に対応する。自重は70キロと比較的軽量ながら、150キロまでの荷重に耐える。兵士1名が乗ったうえで、重さ数キロの66ミリ対戦車砲を携行してもなお余裕がある。

ロシア軍が電子戦を展開しており通信が困難な地域では、eバイクに乗った兵士が伝令の役割を果たす。遠い昔には馬によって行われてきたメッセージの伝達は、いまやeバイクが取って代わった。

細かな配慮として、大型の可搬バッテリーとしても機能する。戦場では電源確保に苦労するのが常だが、ウクライナでITニュースを報じる『Mezha』によると、軍用モデルは駆動用バッテリーからUSBポートと220Vソケットを経由し、外部に電源を供給できる。これも、現場の兵士からのリクエストに応える形で追加された機能だ。

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ウクライナに限らず、ここ数年でeバイクの軍事用途での利用は増加傾向にある。アメリカでは国防高等研究計画局(DARPA)は、2014年から静音性重視のeバイクを研究している。ノルウェー軍は2018年からeバイクを採用しており、ニュージーランドやオーストラリアなどでもパトロール用途の試験導入が進む。

対戦車ミサイルの発射から任務用スマートフォンの充電までこなすeバイクの柔軟性に、現場では需要が高まっているようだ。

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