最新記事

軍艦

【動画】ロシア巡洋艦「モスクワ」の「最期」

New Video Appears to Show Sinking Russian Warship Moskva

2022年4月19日(火)17時16分
イザベル・ファン・ブリューゲン

「モスクワ」かつての勇姿(2003年、インドのムンバイ近く) Roy Madhur- REUTERS

<動画が本物なら、ロシア政府が言うように天候は「荒れて」おらず、「モスクワ」は穏やかな海で黒煙を上げながら大きく横に傾きながら沈んだ>

ロシア黒海艦隊の旗艦であるミサイル巡洋艦「モスクワ」が、沈没する直前の様子をとらえたとみられる新たな動画が、インターネット上に投稿された。わずか3秒の短い動画には、黒い煙に包まれている「モスクワ」とみられる艦船が映っている。

ウクライナ軍は4月13日、対艦ミサイル2発を「モスクワ」に命中させたと主張。一方のロシアは、搭載していた弾薬の爆発により損傷を受けたとの説明を変えておらず、米国防総省は「モスクワ」損傷の原因をまだ確認できていない。

近くを航行していた船舶から撮影されたとみられる3秒間の動画には、煙を上げ艦体が傾く「モスクワ」と、その近くにある曳航船とみられる船舶が映っている。動画は「ばか者!何をしているんだ!」という男性の怒鳴り声と共に途絶える。

ソーシャルメディア上には今回の動画に先立ち、「モスクワ」を撮影したとみられる画像が出回っている。画像からは、救命艇が既に降ろされていたことが伺える。

「海が荒れたため沈没」

これらの動画と画像が本物かどうかについて、本誌では確認ができていない。動画を最初に広めたのは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナ侵攻の追跡調査を行っている、OSINT(オープンソース・インテリジェンス:公開情報を分析して情報を読み取る手法)の研究者たちだとみられている。

ウクライナ軍は、2発の対艦ミサイル「ネプチューン」を命中させて「モスクワ」を沈没させたと主張する。

ロシア国防省は国営タス通信に対して、「モスクワ」には約500人の乗組員が乗っていたと述べ、「(モスクワは)曳航先の港に向かう途中、搭載していた弾薬が爆発して火災が発生し、船体が損傷したことから安定性を失った」と説明。「海が荒れたため、沈没した」と述べた。

ネット上に出回っている動画と画像を見る限り、悪天候で海が荒れている様子はない。

ロシア国防省はまた、乗組員は全員避難し、クリミア半島にあるセバストポリの港に退避しているとも述べた。

ロシア政府は、「モスクワ」の沈没によって乗組員に犠牲者が出たかどうかを明らかにしていない。しかしロシアのソーシャルネットワーク・プラットフォーム「フコンタクテ」への複数の投稿によれば、複数の親族の元に、乗組員が「行方不明になっている」という連絡が入っているということだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口の中」を公開した女性、命を救ったものとは?
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 5
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 8
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 8
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中