パレスチナ紛争再び激化の恐れ ラマダンにエルサレムで衝突
イスラム教のラマダン(断食月)に当たる現在、エルサレムでイスラエル警察とパレスチナ人が衝突している。写真はイスラエル側との衝突後にエルサレム旧市街でのスローガンを叫ぶパレスチナ人ら(2022年 ロイター/Ammar Awad)
イスラム教のラマダン(断食月)に当たる現在、エルサレムでイスラエル警察とパレスチナ人が衝突している。エルサレムにおける衝突がガザ地区での戦争に発展してから1年、再び両者の紛争激化に懸念が高まってきた。
イスラエル警察は15日、エルサレム旧市街地にあるイスラム教の聖地「アルアクサ・モスク」に突入。パレスチナ人の集団が、近くにあるユダヤ教の祈りの場「嘆きの壁」や警察に向かって爆竹や石を投げ始めことから、散会させるためだったとしている。パレスチナ人少なくとも152人が負傷した。
アルアクサ・モスクは、イスラエルが1967年の中東戦争で占領し、後に併合した東エルサレムの丘にある。ユダヤ人が「神殿の丘」と呼ぶこの地域は、数世代にわたる紛争の中で最も緊張をはらんだ場所だ。
パレスチナ政策世論調査センターのディレクター、カリル・シカキ氏は「エルサレムでの衝突は、幅広い暴動を引き起こす可能性が最も高い問題かもしれない。過去にもそうしたことがあった」と語る。
この2週間、パレスチナ人がイスラエル人を攻撃して死者を出したほか、ヨルダン川西岸でイスラエル軍がパレスチナ人を殺害し、緊張は既に高まっていた。今月はラマダンとユダヤ教の祝祭「過越の祭」、キリスト教の復活祭が重なるため、さらに緊迫している。
パレスチナのシュタイエ首相はアルアクサ・モスクでのイスラエル警察の行為について「聖月に礼拝者に対して残忍な攻撃を仕掛けた」と非難し、危険な兆しだと指摘した。
パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織「ハマス」の報道官は、イスラエルが警察を動員したことは報いを受けずに済まないと言明。「武器には武器を。力には力を。われわれは全力を尽くしてエルサレムを守る」と述べた。
昨年5月、ハマスがアルアクサ・モスクとシェイクジャラ地区からのイスラエル警察撤退を要求した後、パレスチナ軍はイスラエルにロケット弾を発射した。東エルサレムのシェイクジャラ地区では、裁判所がパレスチナ住民から土地を取り上げる可能性をちらつかせ、抗議行動や衝突につながっていた。
その後11日間にわたる戦争で、ガザ地区でパレスチナ人250人が、イスラエルでは13人が死亡した。