パレスチナ紛争再び激化の恐れ ラマダンにエルサレムで衝突
イスラエルのベネット首相は、当局がエルサレムとイスラエル全域で平安を回復するために取り組んでいるとしながらも、「あらゆるシナリオに備えており、治安部隊はいかなる任務にでも当たれる準備がある」との声明を出した。
殺害の新たな波
先週は、西岸の街ジェニンで難民キャンプのパレスチナ人がイスラエル人3人を銃撃して殺害し、テルアビブのバーでも数人にけがを負わせた。パレスチナ人は最近イスラエルの都市で相次ぎ発砲しており、これで死者は14人と、2016年以来の襲撃で最多を記録。ベネット首相は「テロの新たな波」が発生したと述べた。
イスラエル軍は今年、パレスチナ人を40人殺害している。
パレスチナ外務省は「戦場での醜い処刑」だと非難した。
イスラエルは西岸とイスラエルとの分離壁を修復したり、大がかりな逮捕を実施するなどの治安措置を講じる一方、西岸とガザ地区に住むパレスチナ人のイスラエル、エルサレム入りを比較的緩和してきた。
イスラエルのラピド外相は14日、「力の行使に制限はない」と発言。ただ、パレスチナ人が混乱を引き起こすことなく「静かに」を祝うことは認めると付け加えた。
世論調査員のシカキ氏によると、アルアクサ・モスクで衝突が起こる15日まで、こうした緩和措置は一部パレスチナ人の不満を和らげていた様子だ。
しかし、イスラエルが1967年の戦争で占領した土地を55年にわたり軍事占領してきたことへの積もり積もった怒りと恨みの方が、譲歩の気持ちに勝るとシカキ氏は言う。
イスラエルの人権団体ベツェレムによると、西岸と東エルサレムで取り壊されたパレスチナ人の住居の数は昨年、2016年以来で最多数に上った。
過去5年間、イスラエルが直接支配する西岸の6割で、パレスチナ人に与えられた建築許可はわずか33件だが、ユダヤ人入植者については1万6500件を超えた。これは人権コンサルタントのイタイ・エプシュタイン氏がイスラエル国防省のデータを引用して明らかにしている。
パレスチナ解放機構(PLO)の元法律顧問、ダイアナ・ブットゥ氏は「占領の全体構造は暴力だ」と指摘。「何十年も日常的に暴力が続いている。それがついにイスラエルに跳ね返る段階に達しただけのことだ」と語った。
(Henriette Chacar記者、 Ali Sawafta記者、 Nidal al-Mughrabi記者)
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