プーチンは勝利のためにも絶望からも核を使いかねない
Putin Prepared to Use Nuclear Weapons—Khrushchev's Great-granddaughter
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アムール州のボストチヌイ宇宙基地を視察したプーチン(4月12日) Sputnik/Mikhail Klimentyev/Kremlin/REUTERS
<核使用を匂わせるプーチンやロシア政府指導層の発言は、ただの脅しではない、全世界が本気で備えるべきだとロシアを熟知する専門家は警告する>
ソビエト連邦の最高指導者だった故ニキータ・フルシチョフの曾孫にあたるニーナ・フルシチョワ教授(国際問題)が、ロシアはウクライナで核兵器を使用する準備をしているかもしれない、と警告した。
ニュースクール大学(ニューヨーク)で教鞭をとるフルシチョワは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナで勝利を宣言したいがために、最終的に戦術核兵器を使うのではないかと危惧していると語った。
「勝利を得るためにロシアは何でもやりかねない可能性がある上、核兵器使用についてはロシアと西側の間で警告の応酬もあった。戦術核の使用が選択肢に入っていてもおかしくない」と、フルシチョワは本誌に語り、自分のコメントは「予測ではない」と付け加えた。
「そこは明確にしておきたい」と、彼女は言う。「核が使用される事態になると言っているわけではない。だがシナリオとして、最も可能性が高いとは言えないが、考えられないことではない」
フルチショワは以前、イギリスのBBCにも「プーチンはこの戦争に本気で勝つつもりだし、どんな犠牲を払っても勝ちにいくはずだ」と語った。
「だから、プーチンが勝利を宣言するために、戦術核兵器を使用する必要があるとしたら――これは予測ではないけれど、核を使うことは、ロシア側が覚悟している選択肢のひとつかもしれない」
核攻撃を正当化
ウクライナ侵攻の直後、プーチンは西側諸国に手を出すなと警告し、ロシア軍の核兵器を運用する部隊に、特別警戒態勢を命じたことを明らかにした。また、ロシアに干渉する国は「歴史上経験したことのないような結果」に直面することになる、とも述べていた。
最近、ロシア政府の指導層は、ウクライナにおける核兵器使用を正当化する理由を掲げている。
ロシア安全保障会議の副議長を務めるドミトリー・メドベージェフ前大統領は3月、ロシアが核兵器を使用する「権利がある」場合について、複数の条件を挙げた。そこには、通常兵器しか使用していない国に対しての核攻撃を正当化する条件も含まれていた。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領も先日、ロシアが化学兵器や核兵器を使用する可能性に対して、世界中のすべての国が備えるべきだという考えを示した。
「ロシアは化学兵器を使うことができるし、そうするはずだ。ロシア軍にとって人命などは無に等しいからだ」と、ゼレンスキーはCNNのインタビューで語った。「われわれは恐れるより、準備することを考えるべきだ。それはウクライナの問題ではない。ウクライナだけではなく、全世界の問題だと思う」