仏大統領線、ルペンへの「極右アレルギー」後退 決選投票はマクロン僅差の戦いも
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フランス大統領選挙の第1回投票が行われ、現職でマクロン大統領(写真)と、極右政党「国民連合(RN)」のマリーヌ・ルペン党首が決選投票に進む見通しとなった。パリで撮影(2022年 ロイター/Benoit Tessier)
フランス大統領選挙の第1回投票が10日に行われ、現職でマクロン大統領と、極右政党「国民連合(RN)」のマリーヌ・ルペン党首が決選投票に進む見通しとなった。中道のマクロン氏が24日の決選投票でルペン氏を制して再選を目指そうとするなら、地に足の着いた選挙戦をもっと強化するしかない。ルペン氏の穏健化によって、これまでの有権者の「極右アレルギー」をもはや当てにできないからだ。
第1回投票でマクロン氏の最終得票率は28%になるとみられ、2017年の前回選挙より改善している。しかし、各種世論調査によると、決選投票でマクロン氏はルペン氏に勝利するとしても僅差の戦いになる。
これまでフランスの選挙は全国レベルでも地方レベルでも、左右両派の有権者が一致団結して極右が政権の座に就くのを阻止する「共和国統一戦線」と呼ぶべき運動が生じてきた。今回も、右派の共和党や左派の社会党を含め、第1回投票で敗退が見込まれる主要候補は軒並み、決選投票でマクロン氏を応援すると表明した。
とはいえ、彼らの支持者が言うことを聞くかどうかは分からない。さらに各候補の予想得票率はいずれも1桁台とあまりに低調なので、支持層の動向はあまり重視されないかもしれない。
市場調査会社イプソス・フランスの調査責任者マチュー・ギャラール氏は「政治家の間では共和国統一戦線が動き出しつつある。有権者がそれに従うかどうかはまだ不透明だ」と述べた。仏世論研究所(Ifop)の出口調査から予想されるマクロン氏の決選投票の得票率は51%にとどまっており、確かに共和国統一戦線のほころびがあらわになりつつある。
マクロン氏再選のハードルが高くなっている状況は、ルペン氏側の変化からも見て取れる。ルペン氏は以前に掲げていたより好戦的な反移民、反欧州連合(EU)の旗をほぼ降ろし、生活費上昇問題の取り組みに重点を移している。この結果、Ifopが3月に実施した別の調査によると、ルペン氏を「恐ろしい」と考える国民は半分弱に減少した。