ウクライナ支援していた在外ロシア人に資金凍結の影響 難民支援の振込も停止の不条理
ロイターが先に報じたところでは、欧州連合(EU)規制当局は一部銀行に対し、EU域内居住者を含むすべてのロシア人およびベラルーシ人顧客の取引を精査するよう指導した。
欧州資産運用会社の一部も、ロシア人顧客との新規取引を中止するなどして、制裁の火の粉を浴びないよう模索している。スイスの銀行大手UBSのラルフ・ハマーズ最高経営責任者(CEO)は、実質的にロシアのパスポート保有者全員が準制裁対象になったと述べた。
ロンドンに住むロシアの文筆家、Grigory Chkhartishvili氏は、英バークレイズ銀行を通じてウクライナ難民支援基金に資金を振り込むことができた。同氏の姓はジョージア語だ。
しかしロシア姓を持つ妻は、同じ基金に振り込みをしようとして同行に阻止されたという。同行は妻に対面での面会を求めた。
「私の振込額の方が10倍大きかったが、問題はなかった。これが今の雰囲気だ」とChkhartishvili氏は言う。
妻はロイターに対し、バークレイズ銀行に電話して事情を説明した翌日に送金が可能になったと明かした。
30年間ロンドンに住むロシアの石油・銀行実業家は、ロシアの侵攻による「巻き添え被害者」になったと話す。自身は制裁リストに載っていないものの、制裁拡大を懸念し、欧州にある資産の売却を検討している。「現金で生きていく必要がある。なるべく静かにしていなければならない」と語った。
嫌ロシア感情
ロンドンでレストランを経営するチクバルキンさんの場合、フォキナさんと共にプーチン氏と戦争に反対し、ウクライナ支援を叫んできたため、2人のビジネスが嫌ロシア感情の標的になることは免れている。
しかし、2人が経営するミシュランの星付きレストラン「ハイデ」は、ロシアのウクライナ侵攻から2週間たったころ、グーグルレビューで珍しく「星1つ」という最低の評価が1件付いた。フォキナさんの助手が明らかにした。レビュー総数は1767件で、平均点は4.5だ。
星1つのレビューには「経営者はロシア人」という短いコメントが付いていた。このレビューはその後削除された。
「チャイコフスキーのコンサートに行くのをやめたとか、人々がロシア食品店を襲っているとかいったニュースを目にする。ここは2022年のロンドンだ。あっという間にこうなってしまうとは」とフォキナさんは嘆いた。
(Kirstin Ridley記者、 Brenna Hughes Neghaiwi記者、 Danielle Kaye記者)