韓国、新型コロナ新規感染者世界最多 政府はさらに規制緩和
新型コロナ新規感染者が急増する韓国...... REUTERS/Heo Ran
<韓国で新型コロナウイルスの新規感染者が急増している。医療機関、政府の対応にも混乱が見られる......>
韓国中央防疫対策本部は、3月16日0時から17日0時までの新型コロナウイルスの新規感染者が62万1328人となり、429人が死亡したと発表した。感染者と死亡者のいずれも感染症が広がって以来、最多を記録した。
17日午後から尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領と相星孝一在韓日本大使の面会が予定されていたが、相星大使が感染したため、延期となった。
また、PCR検査の受検者が増えたことから保健所の業務が停滞し、検査希望者が医療機関に殺到。感染者が世界最多を記録するなか、政府はソーシャルディスタンスを緩和した。予防医学の専門家は政府が防疫を放棄しただけでなく、感染をあおっていると指摘する。
世界の新規感染者で韓国が最多に
世界保健機関(WHO)が3月16日に発表した週間疫学報告書によると、3月7日から13日の世界の新規感染者は1140万7714人で、韓国が210万171人で最も多かった。以下、ベトナムの167万627人、ドイツの135万362人、オランダの47万5290人、フランスの41万9632人が続いている。
3月18日には人口100万人当たりの7日平均新規感染者が7500人を記録した。3月4日にピークに達した香港の5845人や1月25日にピークとなったフランスの5436人など主要国を上回っており、1月25日に1万968人を記録したイスラエルに次ぐ規模だ。
韓国気象庁は予報が当たらないことで知られているが、中央防疫対策本部も感染者の急増を予測できなかった。1日の新規感染者が8000人を超えた1月25日、金富謙(キム・ブギョム)首相はピークを3万人程度と述べた。2月7日には、鄭銀敬(チョン・ウンギョン)疾病管理庁長が13万-17万人になると予測した。
1日の感染者が17万人に達した後、一時的に減少すると、韓国政府は3月1日、12月から導入していた防疫パスの運用を中断し、濃厚接触者の隔離措置を解除した。また5日には私的会合の人数を4人から6人に緩和して、ワクチン未接種者の会食への参加禁止を解除した。大統領選挙の投票日が迫るなか、営業制限で不満が溜まっていた自営業者の票を意識した政治的緩和という批判が出た。
感染者の急増は中国にも飛び火
感染者の急増は中国にも飛び火している。3月10日、経済紙・北京商報が「浙江省の各地域で数人の感染者が韓国から輸入した衣類に接触していたことが確認された」と報じたのだ。
浙江省紹興市当局は公式SNSで「杭州市のコロナ感染者が外国からの輸入衣類を通じて感染したことが分かった」「市民は必須ではない輸入品を購入してはならない」と勧告し、「特に韓国から輸入した衣類を購入した人はPCR検査を受けるように」と付け加えた。
中国では新型コロナが海外郵便物や貨物を通じて流入したという主張が提起されてきたが、韓国製品を名指したのは初めてで、主要ポータルサイト「百度(バイドウ)」でも「韓国輸入衣類」を検索すると「疫情(伝染病状況)」などのキーワードが表示されるという。