ウクライナが切望する飛行禁止区域 実効性はないのか?
ロシアのプーチン大統領は、飛行禁止区域に加わった国をロシアは「戦闘参加者」とみなすと警告している。
また、飛行禁止区域が破局的な全面戦争に移行しなかったとしても、実際に効果を発揮する保証はない。
米空軍元将校のマイク・ピエトルチャ氏とマイク・ベニテス氏は先週のオンラインメディアへの寄稿で、相当な抵抗力を有する相手に対して飛行禁止区域を設定して維持したという事例は、過去に見当たらないと述べた。
◎実効性はあるか
冷戦終結以降、飛行禁止区域はさまざまな脅威に対応して設定されてきた。イラクやボスニア、コソボ、リビアなどが挙げられ、作戦が成功したか失敗したかは、それぞれで大きく異なる。ただ、敵対側の軍事力は著しく劣っていたという点は共通している。
ピエトルチャ氏とベニテス氏は、コソボ紛争の事例を取り上げた米シンクタンクのランド研究所の論文に言及し、世界最強クラスの空軍力を持つ米国が二流の防衛態勢に全力で立ち向かったにもかかわらず、圧倒的な制空権を決して確保できず、作戦支援に必要な空中監視機は攻撃されるのを避けるため、当該空域にずっと近づけなかったと説明した。
セルビアの独裁者だったスロボダン・ミロシェビッチは最終的に打倒されたとはいえ、NATOによる空爆を主体とする「同盟の力作戦」は、たまたまうまくいっただけで、純作戦的には失敗だったし、それも20年余り前の話だと強調した。
さらに両氏は、現在1人の兵士が携帯できる対空兵器や最新鋭の地対空ミサイルが配備されている国に飛行禁止区域を設けるのは「作戦上無理があるし、政治的にも受け入れられない」と指摘。米国とNATOにとって危険かつ破滅的な結果が生じるだろうとみている。
◎NATO加盟国からのミグ戦闘機移送
NATOに加盟するポーランドが8日、同国が保有するロシア製戦闘機ミグ29をドイツの米空軍基地に運び、そこからウクライナ空軍の戦力補充用に移送するという驚きの提案をしたが、米政府は断った。
複数の政府高官や専門家は、この提案には幾つもの問題があると話す。米国をロシアとの戦争に巻き込むリスクはもちろん、ドイツからウクライナに移送する態勢を確立し、保有機を渡すポーランドに代わりの戦闘機をどうやって提供するかも決めなければならないからだ。
米国防総省のカービー報道官は「このやり方に相応の妥当性があるかどうかは、全く不透明だ」と語った。
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