女子バスケのアメリカ代表選手、ロシアで拘束。身を案ずる署名3万件超
Brittney Griner Petition Receives 30k Signatures Urging WNBA Star Be Rescued From Russia
グライナーは昨年の東京2020オリンピックでも女子アメリカ代表として金メダルを獲得した Phil Noble- REUTERS
<オリンピックで2度金メダルを獲得した女子バスケットボールのスター選手が麻薬密輸の容疑でロシアに拘留され、アメリカでは身の安全を懸念する声があがっている>
ロシアのウクライナ侵攻をめぐって米ロ関係の緊張が高まるなか、アメリカのプロバスケットボール選手が麻薬密輸の容疑でロシア当局に拘束されていることが判明した。
ニューヨークタイムズ紙は3月5日、アメリカのWNBA(女子プロバスケットボール協会)に所属するブリトニー・グライナー(31)が、モスクワ近郊のシェレメーチエボ空港で2月に拘束されていたことを報じた。逮捕の日時は特定されていない。
ロシア税関当局の発表によれば、同空港に到着したグライナーの手荷物のなかから、蒸気吸入器と大麻オイル(ハシシュオイル)が発見されたという。ハッシュオイルとは、精神作用成分であるテトラヒドロカンナビノール(THC)が高濃度に含まれた濃縮マリファナのことだ。
グライナーに対しては現在、違法薬物の「密輸」の容疑で捜査が行われており、有罪となれば10年以下の懲役に処せられる可能性がある。
CNNによれば、ロシア税関当局の密輸対策本部のイリーナ・ベギシェワは国営チャンネル「ロシア24」でこう語った。「相当量の麻薬の密輸のため、ロシア法229条2項により、アメリカ市民が刑事訴追されている」
グライナーは2016年のリオデジャネイロ五輪と2020年の東京五輪にアメリカ代表として出場、金メダルを獲得している。
3万人以上が署名
署名サイトチェンジ・ザ・ドット・オルグでは、グライナー選手のロシアからの迅速かつ安全な帰国を求める署名が行われ、すでに3万人以上が参加した。
署名を呼び掛けたのはWNBAを専門とするジャーナリストで活動家のタムリン・スプライル。署名の数は現時点で3万978人分に達している。
スプライルは支持者に、「ブリトニー・グライナーが安全かつ迅速にアメリカに帰ってこられるように、アメリカの議員たちに呼びかけよう」と促している。
「グライナーは、WNBA参加以来、他人を助けるために自分の力を使ってきた、みんなに愛されている地球市民です」と、スプライルは署名の請願で説明した。
「グライナーがロシアにいたのは仕事のためだった。UMMCエカテリンブルクでプレーし、2021年には、ユーロリーグ女子における同チームの5度目の優勝に貢献した」
スプライルは、アメリカの女子プロバスケットボール選手の多くが、オフシーズンに海外で活動していることを説明した。
「グライナーはWNBAのオフシーズンには海外でプレーしている。WNBAに所属する多くの選手がそうしている。アメリカ以外の国のほうが、報酬が格段に高いからだ」
「男子のNBA(全米バスケットボール協会)の新人はまだプロの試合に出場していない段階でも、オールスターに選ばれたWNBAのベテラン選手が望む何倍もの報酬を得ている」と、嘆願には書かれている。
「この現実は、選手のせいではない。女子選手は単に男子と同じように自分の価値に見合った報酬を得たいと考えているだけであり、だから地政学的な混乱に巻き込まれても仕方がないとはいえない」