「ウクライナに飛行禁止区域設定を要請する」NATO内から初
Estonia Becomes First NATO Member to Call for No-Fly Zone Over Ukraine
ウクライナ空軍のミグ29は旧ソ連製 Gleb Garanich-REUTERS
<ウクライナが求めてきた空域封鎖は、ロシアとNATOの直接衝突につながりかねないと大国は断り続けてきたが、旧ソ連や旧東欧諸国などロシアに近い国々は恐怖におののいている>
バルト三国の一つ、エストニアは、NATO加盟国として初めて、ウクライナ上空に飛行禁止区域(NFZ)を設定するよう求めた。
ウクライナと同じく旧ソ連の崩壊で独立し、今もロシアと国境を接するエストニアの議会は3月15日、EU諸国と国連加盟国に対して、「ウクライナで多数の民間人が犠牲にならないよう、NFZを設定するための緊急措置を講じる」ことを求める決議を可決した。
ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領はNFZの設定を繰り返し求めているが、ロシアと西側諸国が直接軍事衝突することを懸念する各国政府は、この要求を拒否してきた。
NFZが設定されれば、NATO加盟国の航空機がウクライナ上空をパトロールし、NFZに入ったロシア航空機を撃墜できることになる。これが核保有国同士の直接対決の引き金となり、世界大戦の口火が切られる可能性もある。
30カ国に上るNATO加盟国のほとんどは、このような戦争の拡大を望んでおらず、アメリカのジョー・バイデン大統領は一貫して、NFZの設定はあり得ないと断言している。
しかしゼレンスキーは、どちらにしてもNATOは戦争に引きずり込まれるだろうと警告している。
ロシア軍が3月13日、NATO加盟国ポーランドとの国境に近いヤーボリウの軍事訓練センターを巡航ミサイルで空爆したことを受け、ゼレンスキーは14日に公開したビデオ演説で次のように述べた。「私たちの空を閉じなければ、ロシアのロケットがあなたの領土、つまり、NATOの領土に落ちるのは時間の問題だ」
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナ上空にNFZを設定すれば、「武力紛争に参加」したと見なさすと述べている。
不安定な地域
一方、ポーランドの駐ウクライナ大使であるバルトシュ・チコスキは3月第2週、母国のニュースチャンネルTVN24で、ウクライナの空を閉鎖すれば、戦争の終結が早まり、人々の命を救うことができると語った。
ロシアと国境を接するエストニアは、さらに一歩踏み込み、議会がNFZの設定を要求した。
ロシアが2014年にウクライナのクリミア半島を一方的に併合して以降、東欧諸国には、ロシアの影響力がいずれウクライナの国境を越え、かつてソビエト連邦が支配していた地域にまで広がるのではないかという恐怖が広がっている。
アルバニア、北マケドニア、コソボ、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、モンテネグロで構成する西バルカン諸国のリーダーたちは、「近隣諸国の独立を弱体化させることで、ヨーロッパ全体を不安定化する」というプーチンの目的について警告し続けてきた。
ガーディアンの報道によれば、コソボとボスニア・ヘルツェゴビナの政治家たちはEUとNATOに対し、ロシアに対抗するため、西バルカン諸国からの加盟申請に迅速に対応するよう求めている。