ウクライナ侵攻は「第一次情報大戦」 市民も草の根で対抗
ロシアは「情報を非合法化」
一方のプーチン氏は、ロシア国内でのFacebookとTwitterの利用を禁じた。また、政府がフェイクニュースと判定した情報を流したジャーナリストを最大で懲役15年の刑に処すとしている。
カドワラード氏はこの方針を「情報を非合法化しようとする異常な措置」であり、「破れかぶれで滑稽」な動きだと指摘する。「なぜなら2022年にあって、情報を禁止することなどできないからだ。酸素を禁止するようなものだ。」
守勢に入ったプーチンの一手を、氏は悪手だと指摘する。「現状で先を見通すことなどできないが、ひとつだけ確かなことがある。『情報戦』と呼ばれる手法の父であったプーチンが、たった今、情報戦に敗けたのだ。」
また、カドワラード氏は次のようにも述べ、ITを活用するゼレンスキー大統領と旧態然としたプーチン氏の手法を対比した。「これは嘘対真実の闘いだ。闇対光だ。スターリン対TikTok世代の人々だ。」
ロシア自身が最初の犠牲者
ロシアが仕掛けるプロパガンダとフェイクニュースは、ハイブリッド戦争の重要な一角を担う。しかし専門家は、ロシアが自らが仕掛けた偽の情報に惑わされ、泥沼にはまっていると指摘する。
チェコ・カレル大学のヤン・コフロン助教授(国際関係学)は侵攻が始まる前の時点で、戦局の予備評価を行なっていた。米政治アナリストのスティーブン・ビドル氏による戦力モデルに基づいて分析したところ、ウクライナ軍には最低でも2〜3週間を耐え抜く防衛能力があるとの評価結果が出ている。
一方、ロシア国営メディアが誤って公開した予定稿からは、開戦48時間以内の勝利宣言をロシア側が予定していたとの内部事情が読み取れる。これはコフロン助教授による事前の分析に大きく反するものだ。
助教授は国際放送局のラジオ・プラハに対し、「ロシア側はウクライナを過小評価していた可能性が高いのです」と指摘する。「あろうことか自分たち自身の嘘を信じはじめたという意味で、(ロシア側は)ハイブリッド戦争の最初の犠牲者のように思われます。」
ハイブリッド化する戦争を受け、情報を活用するウクライナと遮断を試みるロシア。対照的な姿勢が国際的な注目を集めている。