最新記事

ウクライナ情勢

ロシアがウクライナ侵攻したとき、中国はどう出るか?

2022年2月21日(月)18時43分
ウクライナ軍の戦車

ロシアが中国に侵攻した場合、中国は外交的、場合によっては経済的にロシアを支援するとみられ、中国と西側諸国の緊張関係が一段と深まりかねない。写真はウクライナ軍が同国で行った軍事演習。18日にUkrainian Joint Forces Operation Press Serviceが提供(2022年 ロイター)

ロシアウクライナに侵攻した場合、中国は外交的、場合によっては経済的にロシアを支援するとみられ、中国と西側諸国の緊張関係が一段と深まりかねない。ただ、中国はロシアへの軍事支援は見送るというのが専門家の見方だ。

バイデン米大統領は18日、プーチン・ロシア大統領が数日中にウクライナに侵攻することを決めたとの見方を示し、ロシア側はこれを否定した。

中国外務省は、米国が「虚偽の情報を拡散して」緊張を生み出していると繰り返し批判。安全保障上の約束を求めるロシアの要求を尊重し、対処するよう促している。

プーチン氏は今月4日、北京冬季五輪開幕に合わせて訪中し、中国との結束を誇示。習近平国家主席とともに、両国が協力する部分で「限界のない」戦略的パートナーシップを深めると宣言した。中国国営メディアは、両国が「協力して世界の正義を維持」していくと伝えている。

ロシアがウクライナに侵攻すれば、中国はこうしたロシア支援の決意を行動に移すかどうかが試されるだろう。中国はしばしば、他国に干渉しない外交姿勢を口にしているだけに、対応が注目される。

中国政府の考え方に詳しい専門家らによると、同国はほぼ確実に、この問題で軍事的に巻き込まれることを望んでいない。

中国人民大学の国際関係学教授、時殷弘氏は中ロ関係について、かつての「政略結婚」の枠を超え、準同盟関係に発展したと説明。とは言え、一方が脅威にさらされれば、他方が軍を送るというような正式な同盟とは程遠いと述べた。

中国は一貫して、ウクライナ危機は対話を通じて平和的に解決すべきだと訴えている。

ラジャラトナム国際研究大学院(シンガポール)のリー・ミンジャン准教授は「仮に台湾との戦争が起こった場合、中国がロシアからの軍事支援を期待していないのと同様に、ロシアはウクライナを巡って中国からの軍事支援を期待していないし、必要ともしていない」と語った。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

アングル:欧州のAI規制法、具体的な実施規則が焦点

ビジネス

アングル:タイ自動車部品業界に暗雲、家計債務増大や

ワールド

ヒズボラ指導者ナスララ師の音信途絶える=関係筋

ワールド

米国務長官、中国外相と会談 ロシアへの軍事支援など
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:羽生結弦が能登に伝えたい思い
特集:羽生結弦が能登に伝えたい思い
2024年10月 1日号(9/24発売)

被災地支援を続ける羽生結弦が語った、3.11の記憶と震災を生きる意味

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ日本の伝統文化? カギは大手メディアが仕掛ける「伝検」
  • 2
    ワーテルローの戦い、発掘で見つかった大量の切断された手足と戦場の記憶
  • 3
    白米が玄米よりもヘルシーに
  • 4
    中国で牛乳受難、国家推奨にもかかわらず消費者はそ…
  • 5
    プーチンと並び立つ「悪」ネタニヤフは、「除け者国…
  • 6
    中国が最大規模の景気刺激策を発表、これで泥沼から…
  • 7
    野原で爆砕...ロシアの防空システム「Buk-M3」破壊の…
  • 8
    「ターフ/TERF」とは何か?...その不快な響きと排他…
  • 9
    爆売れゲーム『黒神話:悟空』も、中国の出世カルチ…
  • 10
    【クイズ】「バッハ(Bach)」はドイツ語でどういう…
  • 1
    キャサリン妃の「外交ファッション」は圧倒的存在感...世界が魅了された5つの瞬間
  • 2
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ日本の伝統文化? カギは大手メディアが仕掛ける「伝検」
  • 3
    がん治療3本柱の一角「放射線治療」に大革命...がんだけを狙い撃つ、最先端「低侵襲治療」とは?
  • 4
    ワーテルローの戦い、発掘で見つかった大量の切断さ…
  • 5
    白米が玄米よりもヘルシーに
  • 6
    メーガン妃に大打撃、「因縁の一件」とは?...キャサ…
  • 7
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 8
    レザーパンツで「女性特有の感染症リスク」が増加...…
  • 9
    NewJeans所属事務所問題で揺れるHYBE、投資指標は韓…
  • 10
    先住民が遺した壁画に「当時の人類が見たはずがない…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 4
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 5
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 6
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 7
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 8
    中国の製造業に「衰退の兆し」日本が辿った道との3つ…
  • 9
    無数のハムスターが飛行機内で「大脱走」...ハムパニ…
  • 10
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中