最新記事

ウクライナ情勢

バイデン「プーチンがウクライナ侵攻決定」 数日中にも開始か

2022年2月19日(土)10時27分

またインタファクス通信が18日、現地記者の報告として報じたところによると、ルガンスク人民共和国で、ガスパイプラインの一部が爆発し炎上した。現地の天然ガス供給会社によると、パイプラインは「大規模な爆発」に見舞われたという。

ウクライナは挑発行為を非難

こうした中、ウクライナ国家安全保障・国防会議(NSDC)のオレクシー・ダニーロフ書記は、ロシアがウクライナ東部で挑発行為を行い、ウクライナ軍の反撃を誘発しようとしているとして非難。「ロシアが今日、親ロシア派を通してドネツクとルハンスク地域で実施したことは全て、ウクライナ軍の反応を誘発するための挑発行為だ」と指摘。「ウクライナは武力を行使して領土を開放する命令は出していない」と述べた。

このほか、ウクライナ国家安全保障局の国防情報部はロシアの特別部隊がドネツクの多数のインフラ施設に爆発物を仕掛けたとの情報を入手したと表明。「(親ロシア派が実行支配する地域の)状況を不安定にし、ウクライナによるテロ行為を非難する根拠を作り出すことを目的としている」と公式ツイッターに投稿した。

ロシア連邦保安局(FSB)からこの件に関するコメントは得られていない。

米国は警告

米国のブリンケン国務長官はこの日、過去24─48時間にロシアとウクライナの国境近辺で起こっている状況について、ロシアが反応を誘発するために偽の挑発を工作するシナリオの一環であることを確認していると指摘。ミュンヘン安全保障会議で、ウクライナ国境近辺から軍を撤収しているというロシアの主張については「それどころか、侵攻の一端を担う部隊を含め、国境に向かう追加部隊を確認している」と述べた。

米国はロシアは現在、ウクライナとの国境沿いに16万9000─19万人の軍隊を集結させていると推測。1月末時点の10万人から急増した。米国のカーペンター欧州安保協力機構(OSCE)大使は「第二次次世界対戦以降で最大の軍事動員」としている。

米国のハリス副大統領は北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長と会談し、ロシアがウクライナに侵攻すれば、制裁という形で「厳しい結果」がもたらされると指摘。「時間単位で」実施されている米国とNATOの関係強化に向けた取り組みは非常に重要だと強調。「ロシアが攻撃的な行動をとれば、これまで協議してきた制裁という観点で確実に厳しい結果がもたらされることにコミットしている」と述べた。

米ホワイトハウスのサキ報道官はミュンヘン安全保障会議を巡り、ウクライナのゼレンスキー大統領が自国を離れ、出席するかは本人次第と指摘。「どのように決定しようとも、米国はゼレンスキー氏を支持する」と述べた。

対ロシア制裁準備

米国のダリープ・シン国家安全保障担当副補佐官はこの日、ロシアがウクライナに侵攻すれば導入される対ロシア制裁について、同盟国と最終的な調整を行っていると表明。ただ、国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアの銀行を排除する措置は含まれない公算が大きいとの見方を示した。


[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・ウクライナ危機で分断される欧州 米と連携強める英 宥和政策の独 独自外交唱える仏
・【ウクライナ侵攻軍事シナリオ】ロシア軍の破壊的ミサイルがキエフ上空も圧倒し、西側は手も足も出ない
・バイデン政権、ロシアのウクライナ侵攻準備を懸念「偽旗作戦の工作員が配置された」


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中