最新記事

亡命中国人

スティーブ・バノンの盟友、恥知らずの中国系億万長者・郭文貴が自己破産

Bannon’s Billionaire Backer Guo Reveals He’s Bankrupt

2022年2月17日(木)17時36分
ジョン・フェン

バノンと共に記者会見に表れた郭。トランプ前大統領の広報担当者が作ったSNS、Gettrの出資者でもある(写真は2018年、ニューヨーク) Carlo Allegri-REUTERS

<中国、次いで米政府の高官にすり寄り、巨万の富を築いた政商が破産を申請。個人資産はわずか10万ドルとする一方、有名なヨットやマンションは自分のものではないと主張している

ドナルド・トランプ元大統領の首席戦略官を務めた極右・スティーブ・バノンのパトロンで、億万長者の郭文貴(クオ・ウエンコイ)がニューヨーク州の裁判所から債務の返済と多額の罰金の支払いを命じられ、自己破産を申請した。

裁判所は2月10日に法廷侮辱罪で5日以内に1億3400万ドルの罰金を支払うよう郭に命じていた。

郭は中国の高官と通じ、巨万の富を築いた政商だが、祖国で詐欺罪に問われてアメリカに亡命。その後は中国共産党上層部の腐敗を暴露し、反中の急先鋒バノンを資金的に支援してきた。トランプの元広報担当者が昨年立ち上げた保守系のソーシャルネットワーク、Gettrのスポンサーともなっている。

罰金の支払い期限の2月15日、郭は破産申請の書類に署名する模様を自撮りし、Gettrの自身のアカウントに投稿した。

マイルス・クオック、クオック・ホー・ワンの名でも知られ、祖国を追われた「反体制派」を自称する郭は、「生涯で初めて、自己破産を申し立てることになった」とGettrで述べた。

「中国共産党の迫害のせいで、私はとうとう破産者となった」そう嘆いてみせたが、祖国の迫害がなぜ破産を招いたか説明する気はないらしい。

差し押さえ逃れでヨットを出航

郭は2008年、自身の事業の資金として、香港のヘッジファンド「パシフィック・アライアンス・アジア・オポチュニティ・ファンド」から3000万ドルを調達したが、以後利払いも元本の返済も一切行わず、借金を踏み倒す気だと、ファンド側は主張。2017年に訴訟を起こした。この時点で利息と合わせて返済額は1億ドル以上に上っていた。

債権者らが目をつけたのは、郭の所有する超豪華ヨット「レディー・メイ号」だ。裁判所は2800万ドルの価値があるこのヨットをアメリカの司法当局の権限が及ぶ海域に停泊させるよう命じたが、郭はこれを無視。差し押さえを逃れるため2020年10月にヨットを出航させた。ニューヨーク州裁判所のバリー・オストレージャー判事によると、これは法廷侮辱罪に当たる。ヨットがアメリカ司法の管轄外にある限り、1日に付き50万ドルの罰金を科される。

レディー・メイ号は、2020年にその船上でバノンが別件で逮捕されたことでも注目を浴びたが、郭は裁判所に自分はこのヨットの所有者ではないと申し立てている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中