ウクライナ国防省にサイバー攻撃、ロシア軍一部撤収でも警戒続く 外交努力継続
こうした中、米国のブリンケン国務長官とロシアのラブロフ外相がこの日、電話会談を実施。ラブロフ外相はブリンケン長官に対し、協力継続の必要性を強調し、安全保障に関する実利的な対話を求めた。ブリンケン氏はウクライナ侵攻が可能になっていることを米国は懸念していると伝え、「検証可能で信頼できる意義のある」緊張緩和が必要との考えを表明。危機解決に外交手段を追求していく意向を改めて示したほか、欧州の安全保障に関するロシアの書面での回答に期待していると伝えた。
ロシア下院が親ロ地域の独立承認要請
外交努力が続けられる中、ロシア下院はウクライナ東部の親ロシア派が実行支配する2地域の独立を承認するようプーチン大統領に要請する案の採決を行い、承認した。
ウクライナ東部ドンバス地域の「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立が承認されれば、ウクライナ東部の停戦と和平への道筋を示した2015年の「ミンスク合意」が根底から覆されるため、ロシアと西側諸国との間の対立が一段と深まる恐れがある。
プーチン大統領は記者会見で、どのように対応するかは明言しなかったものの、ロシアはドンバス地域の問題をミンスク合意を通して解決することを望んでいると述べた。
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長はブリュッセルで記者団に対し「(独立が)承認されればウクライナの領土保全と主権に対するあからさまな侵害となる。ドネツクとルガンスクは疑いなく、国際的に認められたウクライナの国境内にある」と指摘。「ミンスク合意にも違反し、同合意に基づく政治的解決の模索が一段と難しくなる」と懸念を示した。
ミンスク合意は、フランス、ドイツ、ロシア、ウクライナで構成する「ノルマンディー」グループが策定。フランスのルドリアン外相は、ロシアがドンバス2地域の独立を承認すれば「武器を使用しない攻撃」に相当するとして、警戒感を示した。

【話題の記事】
・ウクライナ危機で分断される欧州 米と連携強める英 宥和政策の独 独自外交唱える仏
・【ウクライナ侵攻軍事シナリオ】ロシア軍の破壊的ミサイルがキエフ上空も圧倒し、西側は手も足も出ない
・バイデン政権、ロシアのウクライナ侵攻準備を懸念「偽旗作戦の工作員が配置された」