最新記事

ウクライナ危機

ウクライナ危機でイギリスが対ロ制裁を本格化

Russian Oligarchs Face Tough Sanctions to Deter Putin From Invading Ukraine

2022年1月31日(月)17時37分
ハレダ・ラーマン

リズ・トラス英外相(左)とNATOのストルテンベルグ事務総長(1月24日、ブリュッセルのNATO本部)Olivier Matthys/REUTERS

<プーチンの周囲のオリガルヒ(新興財閥)も制裁の対象にする一方、ウクライナ兵と共に戦う英軍部隊を派遣する可能性は低い、と英外相>

イギリス政府はロシアのウクライナ侵攻を食い止めるため、ロシアのオリガルヒ(新興財閥)への経済制裁を強化する意向だ。ロンドンに所有している資産の差し押さえなども行われる可能性がある。

イギリスのエリザベス・トラス外相が27日、スカイ・ニュースに出演して語った。ウクライナ国境近くのロシア軍が増強され、緊張が高まっている問題に関し「第1の優先事項」はロシアのウラジーミル・プーチン大統領にウクライナ侵攻を断念させることだと述べた。

「イギリスはエストニアへの追加派兵や黒海での空からの(軍事)支援の増強の他、プーチンが侵略を行おうとする場合にウクライナができる限り有利に戦えるよう防衛兵器を供給している」

一方で、今週と来週、ウクライナとロシアを訪問して「外交努力も尽くす」。

「だが、プーチンを阻止するには、侵攻のコストを理解させるのがいちばん早いはずだ。侵攻すれば泥沼の結果となりかねない。それは彼も良く分かっているはずだ」

法改正で制裁対象の幅を拡大

経済制裁に関するイギリスの現行法は(対象が)非常に限定的で、ウクライナの不安定化に直接関与している企業しか対象にできないが、その改正案を週内にも発表するという。

「ロシア政府やプーチン政権と利害関係のあるいかなる企業も標的にできるようにしたい。そうすれば、プーチン政権のオリガルヒや国を支えているロシア企業の逃げ場もなくなる。それこそが今週、われわれがやろうと考えていることだ」

制裁強化の結果、ロシアのオリガルヒがロンドンに所有している不動産の差し押さえが可能になるかどうかは明確にしなかった。

ウクライナへの支援については「いかなる可能性も排除しない」と述べる一方で、ウクライナ軍とともに戦う戦闘要員としての英軍の派兵については「可能性は非常に低い」とした。

だが英政府は、NATO加盟国のエストニアにジェット戦闘機や戦艦、軍事専門家を送り込むとともに、駐留部隊を倍増させているという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中