爆発的に感染拡大するオミクロン株でも集団免疫は無理? 「変異」がネックに
2つ目の要因は、免疫力が薄れていない場合でも、ワクチン接種や感染による防御を逃れることができるような形にウイルスが急速に変異する可能性があるという点だ。
ノースカロライナ大学チャペルヒル校医学部の感染症専門家、デビッド・ウォール博士は「ワクチン接種者でもウイルスをまき散らし、他の人々を感染させ得るとなると、状況はがらりと変わる」と話した。
ウォール氏は、オミクロン株に感染すれば防御力が上がると思い込まないよう注意を促している。次に発生するかもしれない変異株への防御力については、特にそうで「オミクロン株に感染しても、防ぐことはできるのはオミクロン株への再感染だけかかもしれない」と述べた。
集団免疫には全人類の感染が必要?
ヨーロッパ疾病予防管理センター(ECDP)のインフルエンザ専門家、パシ・ペンティネン氏は、今後出てくるかもしれない変異株、あるいは複数の種類のコロナウイルスに対して効力を持つワクチンが現在開発されており、それによって状況が変わるかもしれないと指摘した。ただ、時間はかかるという。
それでも集団免疫が、普通の生活に戻るための「切符」になるという希望は根強い。
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのフランソワ・バルー教授は「メディアは以前、人口の60%がワクチンを接種すれば集団免疫に到達すると報じていたが、そうはならなかった。次は80%なら到達すると報じたが、それも実現しなかった」と述べた。「恐ろしい話だが、大多数の人、つまり事実上、全ての人が新型コロナに感染するという事態を覚悟する必要があると思う」と指摘する。
各国の医療専門家は、新型コロナのパンデミックが最終的に、特定の地域や周期で繰り返し発生する「エンデミック」に移行すると予想している。だが、オミクロン株の出現により、それが起こる具体的な時期が問われるようになった。
WHOのルポラン氏は「いずれはその状態に到達するだろう。しかし、今のところそうなっていない」と話した。
(Julie Steenhuysen記者)
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