1円で売却された米空母キティホーク、解体に向け最後の旅路に就く
博物館としての保存プロジェクトが進んでいた
スクラップ工場へとすでに旅立ったキティホークだが、空母博物館として退役後の余生を送るという別の未来もあり得た。
キティホーク退役軍人協会は海軍に対し、カリフォルニア州に係留し博物館に改装する計画を提案している。候補地のロングビーチには現在、引退した元客船のクイーン・メリー号が係留され、博物館兼ホテルとして親しまれている。
退役軍人協会は同船の付近に開業することを想定し、1200名の会員から計およそ500万ドル(約5億7000万円)分の寄付の確約を取り付けていた。1セントで入札したスクラップ会社の申し出を大幅に上回る額だが、海軍は廃船業者への譲渡を決定する。博物館へのリニューアル計画を進めていた同協会にとって、1セントのオファーに出し抜かれるとは寝耳に水だったようだ。
海軍側の説明としては、歴史的に非常に意義のある退役軍艦のみを保存の対象としたい意向のようだ。また、500万ドルの寄付額では必要な改装費用の半分程度に留まることから、計画の不確実性も問題となっていた。
キティホークは、1950年代から60年代にかけて4隻(ジョン・F・ケネディ含む)が建造されたキティホーク級艦の一番艦だ。1961年に就役し、アフガニスタンやイラクなどに展開している。退役前の10年間は日本の横須賀に配備された。
2008年に日本を離れると、ハワイ経由でブレマートンへ向かい、翌2009年に同地で退役となる。同型艦のなかで最後まで現役で使用された空母であり、原子力を用いない通常動力空母としても最後の一隻であった。
ベトナム戦争時のキティホーク USS Kitty Hawk (CVA-63) 1966-67 Vietnam War Home Movies