最新記事

韓国政治

両陣営の謝罪合戦、投票日まで2ヶ月、混迷を極める韓国大統領選

2022年1月14日(金)14時40分
佐々木和義

与党「共に民主党」の李在明候補(写真・右)と保守系野党「国民の力」の尹錫悦候補(写真・左)の一騎打ちとみられていたが(Kim Min-Hee,Kim Hong-JiPool/REUTERS)

<韓国の大統領選は、与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補と保守系野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソッキョル)候補の一騎打ちとみられていたが、いずれの候補も非好感が好感を上回る混迷の選挙戦となっている...... >

韓国の与野党は、3月9日に行われる次期大統領選を前に候補者家族の不正問題に困惑している。与党「共に民主党」から出馬する李在明(イ・ジェミョン)候補は長男の違法賭博が発覚し、保守系野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソギョル)候補は妻の経歴詐称が判明した。2人の有力候補が謝罪合戦を繰り広げるなか、中道系野党の安哲秀候補が浮上している。

「国民の党」の安哲秀代表が急浮上

韓国世論調査会社ギャラップが1月7日、次期大統領選挙の支持率を発表した。与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補が3週前の12月3週と同じ36%だったのに対し、前回36%だった保守系野党第一党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソギョル)候補は26%まで後退した。一方、前回5%だった中道系野党・「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)代表が15%に急増した。

安哲秀代表は2012年に実施された大統領選への出馬を表明。候補登録直前に野党候補の一本化に合意して出馬を辞退し、民主党の文在寅候補を支持したが、与党・ハンナラ党の朴槿恵候補が当選した。

2017年にも朴槿恵(パク・クネ)前大統領の罷免に伴う選挙への出馬を表明し、世論調査で1位になるなど圧倒的な支持を得たものの共に民主党の文在寅候補と自由国民党(旧ハンナラ党、現・国民の力)の洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補に次ぐ3位で終わった。

2021年のソウル市長選に立候補すると見られたが、野党候補の一本化に合意して辞退しており、今回の大統領選でも野党候補の一本化が取り沙汰されている。

世論調査会社RNサーチが野党候補の一本化に相応しい候補者に関する調査を行っている。回答者の43.5%が安哲秀候補を選択し、尹錫悦候補は32.8%にとどまった。また、安哲秀氏が一本化候補になると仮定した与野党対決では、41.7%が安哲秀候補を選択し、李在明候補の33.7%を上回った。

両陣営の謝罪合戦

李在明候補は城南市長時代に推進した大庄洞(テジャンドン)の宅地開発を巡る不正に関与した疑いが浮上した。李候補は関与を否定しているが、女優との不倫疑惑が持ち上がり、今度は長男が違法賭博を行っていたことが明らかになった。

李在明候補は、朝鮮日報が長男の違法賭博疑惑を報道した12月16日朝、事実を認めて謝罪文を発表した。同日午前に行われた社会大転換委員会発足式で謝罪し、続く報道機関のオンライン合同インタビューでも「責任を負う」と述べて謝罪した。

直前の12月14日、対立候補・尹錫悦氏の妻の経歴詐称疑惑が浮上しており、早々に謝罪することで選挙戦が有利になると判断したとみられている。

尹錫悦候補は、妻の金建希(キム・ゴンヒ)氏が2007年に水原女子大学の客員教授に応募した際、提出した経歴書に虚偽の受賞歴を記載していた疑惑が提起され、また、2013年に安養(アニャン)大学に提出した応募書類にも虚偽履歴を記載した疑惑が浮上した。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中