両陣営の謝罪合戦、投票日まで2ヶ月、混迷を極める韓国大統領選
与党「共に民主党」の李在明候補(写真・右)と保守系野党「国民の力」の尹錫悦候補(写真・左)の一騎打ちとみられていたが(Kim Min-Hee,Kim Hong-JiPool/REUTERS)
<韓国の大統領選は、与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補と保守系野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソッキョル)候補の一騎打ちとみられていたが、いずれの候補も非好感が好感を上回る混迷の選挙戦となっている...... >
韓国の与野党は、3月9日に行われる次期大統領選を前に候補者家族の不正問題に困惑している。与党「共に民主党」から出馬する李在明(イ・ジェミョン)候補は長男の違法賭博が発覚し、保守系野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソギョル)候補は妻の経歴詐称が判明した。2人の有力候補が謝罪合戦を繰り広げるなか、中道系野党の安哲秀候補が浮上している。
「国民の党」の安哲秀代表が急浮上
韓国世論調査会社ギャラップが1月7日、次期大統領選挙の支持率を発表した。与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補が3週前の12月3週と同じ36%だったのに対し、前回36%だった保守系野党第一党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソギョル)候補は26%まで後退した。一方、前回5%だった中道系野党・「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)代表が15%に急増した。
安哲秀代表は2012年に実施された大統領選への出馬を表明。候補登録直前に野党候補の一本化に合意して出馬を辞退し、民主党の文在寅候補を支持したが、与党・ハンナラ党の朴槿恵候補が当選した。
2017年にも朴槿恵(パク・クネ)前大統領の罷免に伴う選挙への出馬を表明し、世論調査で1位になるなど圧倒的な支持を得たものの共に民主党の文在寅候補と自由国民党(旧ハンナラ党、現・国民の力)の洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補に次ぐ3位で終わった。
2021年のソウル市長選に立候補すると見られたが、野党候補の一本化に合意して辞退しており、今回の大統領選でも野党候補の一本化が取り沙汰されている。
世論調査会社RNサーチが野党候補の一本化に相応しい候補者に関する調査を行っている。回答者の43.5%が安哲秀候補を選択し、尹錫悦候補は32.8%にとどまった。また、安哲秀氏が一本化候補になると仮定した与野党対決では、41.7%が安哲秀候補を選択し、李在明候補の33.7%を上回った。
両陣営の謝罪合戦
李在明候補は城南市長時代に推進した大庄洞(テジャンドン)の宅地開発を巡る不正に関与した疑いが浮上した。李候補は関与を否定しているが、女優との不倫疑惑が持ち上がり、今度は長男が違法賭博を行っていたことが明らかになった。
李在明候補は、朝鮮日報が長男の違法賭博疑惑を報道した12月16日朝、事実を認めて謝罪文を発表した。同日午前に行われた社会大転換委員会発足式で謝罪し、続く報道機関のオンライン合同インタビューでも「責任を負う」と述べて謝罪した。
直前の12月14日、対立候補・尹錫悦氏の妻の経歴詐称疑惑が浮上しており、早々に謝罪することで選挙戦が有利になると判断したとみられている。
尹錫悦候補は、妻の金建希(キム・ゴンヒ)氏が2007年に水原女子大学の客員教授に応募した際、提出した経歴書に虚偽の受賞歴を記載していた疑惑が提起され、また、2013年に安養(アニャン)大学に提出した応募書類にも虚偽履歴を記載した疑惑が浮上した。