最新記事

中国

都市封鎖下で出血した妊婦の診療を拒否──「ゼロコロナ」に固執する当局に中国人激怒

Chinese Residents Reportedly Turned Away From Xi’an Hospitals

2022年1月6日(木)19時24分
ケイティー・ワーマス

西安では一時期1日の新規感染者数が100人に達し、当局は外出禁止などさらに厳しい措置を取ったが、この時期をピークに新規感染者は減り始めた。

12月下旬以降の西安の累計感染者数は1800人近くで、今回の感染拡大では死者は1人も報告されていない。他の国々に比べれば感染者は桁違いに少ないが、それでも都市封鎖に踏み切ったことで、中国の「ゼロコロナ」政策が改めて浮き彫りになった。

中国当局は1人でも感染者が出れば、その地域全体を封鎖し、集団検査を実施。さらに国外からのウイルス流入を阻止するため、事実上の鎖国政策を続けて、大規模な感染拡大を防いできた。

西安では、一部住民が食料品の不足を訴え、当局が慌てて生活必需品の支給を約束する一幕もあった。結果、一部の住民が無料で配給を受ける一方で、ネット通販などで法外な値段が付いた高い食料品を買わざるを得ない住民も出るありさまだ。

新規感染者が減り始めても、いつ封鎖が解除されるか当局の発表はなく、市民は苛立ちを募らせている。

確認されただけで西安の共産党幹部2人が、感染拡大を防げなかった責任を問われ、解雇された。加えて、市のビッグデータ管理局のLiu Jun局長が停職処分になったと、新華社通信が5日に伝えた。

死者数は増えず

西安では感染が拡大し始めた12月20日、人の動きとワクチン接種状況を監視する健康コード・システムにアクセスが集中し、システムがダウン。新華社によれば、Liuはその責任を問われたようだ。

中国の新型コロナ感染者数は1月6日現在、累計10万2932人。死者数は4636人で、最近の感染拡大では増えていない。

にもかかわらず、欧米ではあり得ないほど厳しい都市封鎖が実施され、何千万もの人々が不自由な生活を強いられ、経済も大打撃を受けている。

2月4日の北京冬季五輪の開幕を控え、中国当局は新規の感染を徹底的に抑え込む構えだ。

北京では不要不急の市境を越える移動は禁止され、市内の大半のホテルは新規の予約を受け付けていない。五輪では「バブル方式」が採用され、選手、関係者、報道陣は入国してから2月20日に五輪が閉幕して出国するまで、外部との接触を一切断たれることになる。

五輪期間中、各会場の観客は中国居住者のみに限定される。それも大半は、授業の一環として観戦する子供たちや政府と軍の関係者に限られると見られている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...スポーツ好きの48歳カメラマンが体験した尿酸値との格闘
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    最古の記録が大幅更新? アルファベットの起源に驚…
  • 5
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 6
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 7
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 10
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中