都市封鎖下で出血した妊婦の診療を拒否──「ゼロコロナ」に固執する当局に中国人激怒
Chinese Residents Reportedly Turned Away From Xi’an Hospitals
全市民にPCR検査をするために作られた仮設の検査センター(西安、2021年12月22日) cnsphoto-REUTERS
<少数の感染者が出ただけで、北京冬季五輪の成功と習近平安泰のために移動も経済も止め、市民の命を犠牲にしてでも感染を「ゼロ」に抑えようとする当局の強引さに中国人の不満が爆発>
新型コロナウイルスの感染拡大により都市封鎖が続いている中国陝西省の都市・西安では、「病気になっても医療を受けられない」と市民が悲鳴を上げている。
SNS上に飛び交う訴えを見ると、人口約1300万人のこの都市では今、新型コロナ以外の病気や怪我で病院に行っても、直近の陰性証明がないと門前払いをくらいかねないようだ。
もっとも市民の怒りを買ったのは、元旦に妊婦が腹痛に見舞われ病院に搬送されたが、陰性証明の期限が4時間だけ過ぎていたために診療を拒否されたという訴えだ。妊婦の姪がSNSに投稿した動画(妊婦の夫が撮影)では、妊婦は病院の外でピンク色のプラスチックのスツールに座り、院内に入れてもらえるのを待っているうちに出血し始める。
医療スタッフがスツールの下の血だまりに気づいて、妊婦はようやく受け入れてもらえたが、姪の訴えによれば、手術を受けたときには既に胎児は死んでいたという。
西安に続き、河南省の人口117万人の都市・禹州でも、無症状の新型コロナの感染者が3人確認されたことを受け、都市封鎖が実施された。1月5日現在で、当局が確認した無症状の感染者は23人、症状がある患者は6人にすぎない。
西安はピークアウトの兆し
それでも市全域で交通はストップし、道路を走るのは救急車や消防車など緊急車両ばかり。学校は一斉休校になり、宅配サービスも生活必需品に限定されている。
河南省の他の都市でも、確認された感染者はごく少数にすぎないにもかかわらず、集団検査の実施、公共施設の閉鎖、さらに市境を越える移動はもとより、市内でも移動を制限または禁止するなどの措置が取られている。
昨年12月23日から2週間厳しい都市封鎖が実施されてきた西安では、新型コロナの感染者が大幅に減ったと、中国当局が1月5日に発表した。
中国の国家衛生健康委員会の発表によると、この日西安の新規感染者数は35人で、前日の95人の半数以下にとどまった。
西安は兵馬俑遺跡で有名な観光都市で工業も盛んだ。
新規感染者は全員これまでに感染者が出ていた地域の住民で、既に隔離されていた人たちであり、それ以外の地域では新たな感染が報告されていないことから、市中感染はほぼ完全に抑えられたと見ていいと、衛生当局は述べている。