最新記事

恐竜

卵の中で丸くなる恐竜の胚がほぼ完全な状態で見つかる

2022年1月5日(水)11時34分
松岡由希子

孵化する直前の恐竜の胚のイメージ図 PHOTOGRAPH BY ILLUSTRATION BY LIDA XING

<中国南東部江西省で、孵化する直前の恐竜の胚がほぼ完全な状態で保存された化石が中国で見つかった>

孵化する直前の恐竜の胚がほぼ完全な状態で保存された化石が中国で見つかった。中国地質大学や英バーミンガム大学らの研究チームは2021年12月21日、オープンアクセス誌「アイサイエンス」でその研究成果を発表している。

「これまでのほとんどは骨が関節ではずれ、不完全であった」

化石化した長さ16.7センチ、幅7.6センチの長卵形の卵の中に体を丸めて収まった恐竜の胚は、鳥類と近縁の獣脚類に属する「オビラプトロサウルス類」で、白亜紀後期の7200万~6600万年前のものとみられる。頭骨から尾椎までの骨格の長さは約23.5センチであった。

研究論文の共同著者でバーミンガム大学の馬慧芯博士研究員は「これまでに見つかった非鳥類型恐竜の胚のほとんどは骨が関節ではずれ、不完全であった」とし、「卵の中で鳥のような姿勢で丸くなったままきれいに保存されている胚を見て驚いた。この姿勢はこれまでの非鳥類型恐竜では確認されていない」と述べている。

fx1_lrg.jpg


gr1_lrg.jpg

この化石は中国南東部江西省カン州市で発掘され、2000年に中国の石材企業「英良集団」のもとにわたった後、約10年倉庫で眠ったままだったが、「英良石材自然歴史博物館」の建設に際して化石を整理していた職員が化石化した恐竜の卵を見つけ、ひび割れした卵の内部にある骨に気づいた。この恐竜の胚は「英良集団」にちなみ「英良ベビー」と名付けられている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

中国成長率、5%未満でも容認できる 質を重視=人民

ビジネス

ノルウェーSWF、イスラエル通信企業株を売却 倫理

ワールド

アングル:ルーマニア大統領選、親ロ極右候補躍進でT

ビジネス

戒厳令騒動で「コリアディスカウント」一段と、韓国投
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
2024年12月10日号(12/ 3発売)

地域から地球を救う11のチャレンジと、JO1のメンバーが語る「環境のためできること」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや筋トレなどハードトレーニングをする人が「陥るワナ」とは
  • 2
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説など次々と明るみにされた元代表の疑惑
  • 3
    【クイズ】核戦争が起きたときに世界で1番「飢えない国」はどこ?
  • 4
    JO1が表紙を飾る『ニューズウィーク日本版12月10日号…
  • 5
    混乱続く兵庫県知事選、結局SNSが「真実」を映したの…
  • 6
    【クイズ】世界で1番「IQ(知能指数)が高い国」はど…
  • 7
    NATO、ウクライナに「10万人の平和維持部隊」派遣計…
  • 8
    健康を保つための「食べ物」や「食べ方」はあります…
  • 9
    韓国ユン大統領、突然の戒厳令発表 国会が解除要求…
  • 10
    シリア反政府勢力がロシア製の貴重なパーンツィリ防…
  • 1
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 2
    エリザベス女王はメーガン妃を本当はどう思っていたのか?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式ト…
  • 5
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 6
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや…
  • 7
    メーガン妃の支持率がさらに低下...「イギリス王室で…
  • 8
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 9
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説な…
  • 10
    黒煙が夜空にとめどなく...ロシアのミサイル工場がウ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中